「オンライン」を意識しない世界--インターネットが変える次の10年、8つの考察

Jason Hiner (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2014-03-26 07:30

 ワールドワイドウェブは、人類史上もっとも破壊的な力の1つであり続けるだろう。この力は日常的に、シンプルな検索ボックスから人類が持つ広範な知識にアクセスすることを可能にしたり、地球上に散らばった友人や家族の生活の一面を見せてくれたり、世界水準の教育を無料で受けられたり、政府ができない形でクラウドファンディングによって太陽光発電に資金を提供したり、従来なら廃棄されていた食料を再配分したり、腐敗した支配者を歴史のゴミ箱に放り込んだりと、さまざまな役割を果たしている。

 誕生してから25年しかたっていないにしては、悪くない。

 3月の第2週に、ワールドワイドウェブはTim Berners-Lee氏が提案してから25周年を迎えた。技術的に言えば、ウェブはインターネットの上で動作するものだが(インターネットはさらに20年ほど歴史が古い)、インターネットを世界を変える現象へと変えたのはウェブだ。そして今日では、この2つの言葉は、一般大衆にとって事実上同じ意味を持つ。

 ウェブ25周年記念の一部として、Pew Research Internet Projectは2014年を通じて、ウェブの影響とその将来に関する一連のレポートを発表する。3月第2週には、1989年のBerners-Lee氏によるウェブの提案を記念して、同プロジェクトは「Digital Life in 2025」(2025年のデジタル生活)というレポートを公表した。この調査では、2558人のテクノロジ専門家を対象に、将来インターネットがたどる道に関する予測を調査した。そして、そのデータをマイニングし、パターンや鋭いコメントを抽出している。

 取り上げられている専門家の意見には、やや考えすぎのものや、恐怖感を利用しようとするもの、あるいは楽天的すぎる非現実的な話も含まれている。しかし、他愛もない話よりも、興味深い洞察の方が、ずっと多い。ぜひレポート全文を読むことをお勧めするが、この記事では、その中から最も価値のある洞察を抜き出して以下にまとめた。

1.「オンラインにつなぐ」の終わり

 「インターネットは、猫の動画を見つける場所から、日常生活の営みとシームレスにつながる、あって当たり前の機能へと変わる」と、南カリフォルニア大学Information Sciences InstituteのJoe Touch氏は述べ、「もはや、何かのために『オンラインにつなごう』とか、『インターネットを見よう』と思うことはなく、常にオンラインにいて、意識することなく見るようになるだろう」としている。

2.人生を表すダッシュボード

 「ほぼすべてのやりとりに関する情報収集のコストがゼロになると、他人の行動を考慮した上で自らの行動から得た洞察によって、他人や、組織や、未来そのものとの関わり方が根本的に変わる」と、「The Naked Future」の著者であるPatrick Tucker氏は述べている。「われわれは自らの行動の結果について、はるかによく知るようになり、自らの行動をより素早く、そして賢く修正するようになるだろう」(Tucker氏)

3.データの多層化が進む世界

 「われわれは、複数のデータの層を通して世界を見ることに慣れていく」、また「このことは、デートや採用面接、プロフェッショナルの人脈作り、ゲーム、警察活動、諜報など、多くの社会習慣を変えるだろう」と、南カリフォルニア大学でジャーナリズムを教えるDaren C. Brabham教授は述べている。

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