2013年、クラウドコンピューティングは企業からの真剣なまなざしを集めるようになった。2014年には、IT部門が好むと好まざるにかかわらず、既存のITポートフォリオに組み入れられるようになるだろう。本記事では、調査会社Forrester Researchによる、クラウドコンピューティングにまつわる10の予想を紹介する。
2013年、企業はクラウドコンピューティングに真剣な目を向けるようになった。そして2014年には、企業はIT部門の意思とは関係なく、クラウドコンピューティングを既存のITポートフォリオに組み入れようとするはずだ。
開発部門と運用部門が緊密に連携するというDevOpsや、基幹業務(LOB)に軸足を置いた動きはとどまりを見せず、無視できない流れを生み出している。このため2014年は運用部門にとって、抵抗をやめて覚悟を決め、クラウドを積極的に受け入れ、クラウドベースのアプリケーションのデプロイメントを管理し、企業の機動力を上げるための真の戦略を立案するというプログラムに正面から取り組む年となるだろう。
「顧客の時代」の到来とともに、「エンゲージメントのためのシステム」に焦点が移り、重要な顧客ツールを迅速に改良することの重要性に注目が集まるようになってきている。クラウド関連の技術やサービスにより、企業には新たな顧客層にリーチしたり、時代遅れになりつつあるアプリケーションに新たな命を与えるための手軽な方法が与えられる。
2014年には、企業やIT部門によるクラウドの採用が進み、クラウドの活用が当たり前となるとともに破壊的な影響を及ぼすようになるだろう。
以下は、2014年に企業のIT環境に起こるとForrester Researchが予想するクラウド関係の出来事のトップ10である。なお、こういった変化にどう対応すべきかについて、Forrester Researchがクライアントに向けて提供しているレポートはこのページから入手できる。それでは予想を見ていくことにしよう。
#1:SaaSが新規アプリケーション購入時における当たり前の選択肢となる
人的資源管理(HCM)や顧客関係管理(CRM)、コラボレーションといった分野において、SaaSの適用事例はオンプレミスのそれを上回るようになっている。かつては複数のデプロイメント方式を採用していたソリューションも、今ではSaaSしかサポートしていない(Oracleの「RightNow」や、SAPの「Ariba」もオンプレミス向けに提供されることはほとんどなくなっている)。ただし、大企業向けのスイートはまだ、本当の意味でのSaaSに対応していない。とは言うものの、少なくともアプリケーションサービスプロバイダー(ASP)モデルには移行しつつある。
#2:パブリッククラウドが「モノのインターネット」(IoT)の要衝として当たり前のものになる
Fitbitの「Force」やNikeの「Nike+ FuelBand」、サムスンの「GALAXY Gear」といったコンシューマー主導のものか、各種センサや医療機器、交通手段といった企業主導のものであるかに関係なく、2014年には「モノのインターネット」を実現する膨大な数のデータポイントが作り出されるだろう。こうしたデータを集積し、そこから明らかになったことに基づいて行動するには、クラウドを利用したデータの捕捉や分析、対応が最適である。リアルタイムで、あるいはリアルタイムに近いかたちで膨大な入力データを分析する場合、そういったデータすべてを自社のデータセンターまで移送してくるのは避けたいはずだ。ビジネスインテリジェンス(BI)の世界には、データをコンピュータのところまで持ってくるよりも、コンピュータをデータのところに持っていく方が簡単だという昔からの教えもある。クラウドベースの「Apache Hadoop」や、SaaSベースのBIソリューションが増えてきているなか、分析のためにデータを移送する理由は薄れてきている。