#3:サービスカタログがクラウドを戦略的に活用するためのエントリーポイントになる
SaaSアプリケーションは標準的なポートフォリオを構成する要素となり、そういったものをサポートするためのIT調達プロセスや管理プロセスの一元化が進むだろう。サービスカタログはこうしたプロセスの中核となる。サービスカタログは、IT部門が調達するサービスの定義や宣伝、価格設定に用いられるだけでなく、セルフサービスやシングルサインオン、一元化された調達を通じて、クラウドのコンシューマーやITプロフェッショナルといった人々に対する力の源泉となる。また、サービスカタログによって、クラウド配備の「方法」だけでなく、「何」を「いつ」配備するべきかが企業顧客側で決められるようにもなる。クラウドのサービスカタログはコーポレートガバナンスと、コストの透明性、エンドツーエンドのバリューチェーン管理が出会う場所なのである。
#4:境界セキュリティはその境界を越え、あるべきところに落ち着く
クラウドとモバイルの連携は2013年に予想され、そして実証もされた。つまり、企業内にはもはや統制可能な境界が存在していないのである。境界内での統制を実施しようとしても、作業の多くが自社という境界を越え、パブリッククラウドに移っている以上、効果的なものとはならない。さらに、ユーザーは今や数多くのデバイスを所有しているため、ネットワークアクセス制御(NAC)といったデバイスレベルのセキュリティは管理のオーバーヘッドが大きすぎて現実的ではなくなっている。このため、ネットワークやデバイスの保護ではなく、「ゼロトラスト」と呼ばれるセキュリティモデルに基づいたデータの保護へと焦点を移す必要がある。ネットワーク境界が縮小し、デバイスの数が増えていくなか、統制できるのは自らのデータのみとなるのである。
#5:オーストラリアがパブリッククラウドコンピューティング市場で第2位に浮上してくる
欧州の市場規模は、全体として見れば世界第2位であるのは間違いないものの、単一の国家で見た場合、オーストラリアではパブリッククラウドのコンピューティングサービスの普及がどんどん進んでいる。仮想化や、スマートフォンなどのテクノロジの場合と同様に、米国や欧州でいったん価値が広く認められたテクノロジはオーストラリアで迅速に普及するのだ。このことはパブリッククラウドについても当てはまる。中国でも同様の動きがあるはずだと考える方もいるかもしれないが、Forrester Researchの調査によると、中国市場はまだ仮想化やITリソースの統合を行っている段階である。