世界に86あったデータセンターを6つに集約--HPが自ら進める“ITの新しい形”

齋藤公二 (インサイト) 2014年04月23日 19時03分

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 「ITとビジネスを取り巻く環境は大きな転換点にある」――。

 日本ヒューレット・パッカード社長執行役員のJim Merritt氏は、4月18日に開催されたユーザー向けイベント「HP World Tour 東京」の基調講演で、こうした見解を明らかにした。これからのITのあり方としてHPが提唱する「New Style of IT」をどのように実現していくかについて、HP自身の取り組み事例などに触れながら紹介した。

 同イベントはHPが世界13都市で展開するグローバルイベントの1つで、東京は初となる。

Jim Merritt氏
日本HP 社長執行役員 Jim Merritt氏(米HP アジア太平洋&日本担当 エンタープライズグループ シニアバイスプレジデント&マネージングディレクターを兼務)

 Merritt氏はシンガポール在住で、2011年からHPのエンタープライズグループ アジア太平洋&日本(APJ)担当シニアバイスプレジデントとして指揮を執っている。Dell日本法人で社長を務め、それ以前にIBMで勤務した経験を持つ。同氏は「プライベートカンパニーになったDell、x86サーバをLenovoに売却したIBMを見てもわかるように、ビジネス環境は大きく変わり、市場からのプレッシャーが強くなっている。そうした中でHPは、R&D(研究開発)をコアとみなし、積極的に投資を続けながらナンバーワンソリューションベンダーになるべく取り組みを進めている」と強調した。

 業績については、APJの2014年第1四半期(1~3月)の売上総額は前期比5%増の52億ドル(米ドルベースでは1%減)と、厳しい市場の中でも売上目標を達成したと説明。国内業績を牽引した事業としては、x86サーバ、エントリークラスのストレージ、ITマネジメント関連サービス、(ログ/セキュリティ管理製品)ArcSight、エンタープライズサービスなどを挙げた。その中でもエンタープライズサービス事業は、New Style of IT関連の売り上げが昨対比200%成長で、案件勝率は75%を実現したという。

 「2011年に大島本社にすべての機能を集約し、5000人のスタッフが“One HP”で取り組んできた成果が現れている。アジア太平洋の中でも日本の重要性は高く、製品やサービスはまず日本から展開する方針だ」

 HPが提唱するNew Style of ITとは、クラウドやモビリティ、ビッグデータ、セキュリティといったITのメガトレンドの中で従来型ITとは異なるITを実現するために、HPが提供していく製品や技術を指している。具体的には、プリンティング&パーソナルシステムズ(PC、プリンタ、タブレット)、コンバージド・インフラストラクチャ(サーバ、ストレージ、ネットワーク)、ソフトウェア(ITマネジメント、アナリティクス、セキュリティ)などから構成される。

 「たとえば、統合型製品の“Moonshot System”は、89%の省エネルギー性、80%の省スペース性、77%のコスト削減を実現した、新しいITのスタイルを代表する製品だ。2013年11月に発表したように、これから“Next-Generation CloudSystem”や“Flexible Capacity”といった次世代のクラウドシステムを展開していく予定だ。イノベーションを重視する姿勢はわれわれのDNAであり、カルチャーそのものだ」

 特に、Meg Whitman氏が最高経営責任者(CEO)に着任してからは、研究開発とイノベーションは最重要課題となり、積極的な投資と全社的な取り組みが推進されているという。その事例としてMerritt氏は、HP自身のITの取り組みを説明した。

 HPのインフラ規模は、ストレージ容量63Pバイト、サーバ数4万1000台、ルータ1500台、スイッチ1万5000台だという。次世代のデータセンターを構築するため、ワークロードに応じてMoonshotを採用し、世界86のデータセンターを6つにまで集約した。HPの公式サイトには、1日3億件のアクセスがあるが、このシステムについてもMoonshotを導入。ラック数を半減させ消費電力量を大幅に削減したという。

 クラウドについては、Salesforce.comやSaaS型人材管理システム「Workday」を使って全体のコストを下げながら、ハイブリッドクラウド環境を構築してサービスのデリバリー時間を短縮した。あるサービスについて、それまで21日かかっていたところが2分でデリバリーできるようになったケースもあるという。

 モバイルについては、15万台のデバイスを管理しているという。モバイルアプリケーション開発基盤「Anywhere」を使って、任意のデバイスからアクセスできるような環境を整備していることが大きな特徴だ。

 ビッグデータについては、カラム型データベース「Vertica」をデータウェアハウス(DHW)にして、数億のアクティブデバイスのデータを分析、ハードウェア台数の削減に役立てていると説明した。非構造化データなどを統合的に分析できる「Autonomy」を使って、ソーシャルメディア上の反応をリアルタイムにセンチメント分析し、新しいアプリケーションを導入することに役立てている。

 セキュリティについては、ArcSightによる1日50億件のイベント処理、「TippingPoint」による数百万件のサービス妨害(DoS)攻撃からの防御、脆弱性スキャナ「Fortify」による数百万行のプログラムコードのスキャンなど、自社製品を社内利用に役立てている。

 イベントでは、HPの自社事例のほか、東芝での社内クラウドの活用事例、ヤフーでのデータ利活用の事例、花王でのビッグデータ分析、ベネッセのモバイル活用事例などが紹介された。ユーザー部門担当者を中心とした1000人が講演に耳を傾けていた。

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