日本HP、サーバ事業を再編--カートリッジ型サーバ「Moonshot」に新モデル

三浦優子

2014-01-10 14:14

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は1月9日、2014年のサーバ事業戦略を発表した。あわせて、稼動するアプリケーションの特性に合わせて仕様を使い分けるサーバ「HP Moonshot System」の新製品も発表した。

 同社は例年1月初旬にサーバ事業戦略を発表している。今回は2013年に米本社が戦略として「New Style of IT」を提唱し、研究開発(R&D)の独自技術で付加価値を生む「テクノロジの進化なくしてサービスの進化はない」という戦略へと変わったことを受け、日本法人もサーバ事業を再編した。


日本HP HPサーバー事業統括本部 事業統括本部長 手島主税氏

日本HP HPサーバー事業統括本部 HPサーバー製品統括本部 統括本部長 橘一徳氏

 同社の新年度にあたる11月1日からサーバ事業を統括する立場となった、HPサーバー事業統括本部 事業統括本部長の手島主税氏は「2015年は国内出荷金額でナンバーワン、市場でリーダーシップを取る」と明言した。

200人規模の専任体制

 HPのサーバ事業は、New Style of ITというビジョンとR&D強化という方針をベースに従来はアーキテクチャ別に分かれていたサーバ製品事業を顧客ニーズや利用形態に合わせ、(1)ハイパースケールサーバ製品事業、ワークロード特化型基盤の推進、(2)エンタープライズサーバ製品事業、次世代ミッションクリティカル基盤の推進、(3)コアサーバ製品事業、自働化の推進――という3つに再編した。

 日本法人も現在は3位となっているサーバ市場の出荷金額別シェアで、2015年にナンバーワンを目指し、それを実現するために製品事業の再編、専任体制の強化、パートナーとの連携強化、コミュニティの発足、製品力の強化を実現する。

 専任体制の強化としては、200人規模のサーバ専任の事業体制に再編し、先端テクノロジの活用事例などナレッジをもとに「サーバアーキテクト」として営業活動を展開する。「問題解決と提案ができる体制を実現する」(手島氏)方針だ。

 コミュニティ強化としては「次世代ミッションクリティカル基盤の推進にはエンジニアが鍵」と位置付け、テクノロジコミュニティを発足させる。R&D、国内トップレベルエンジニアとの技術交流勉強会、開発中や未発売の製品を含めた共同で評価、検証するとともにノウハウの実績、機能拡張、設計や製造の品質の向上に向けて取り組み、パートナーとの技術提携強化とエンジニア育成のために投資する。

  • HPはVDI(仮想デスクトップ基盤)ではなくHDI(占有デスクトップ基盤)を提唱した

  • Moonshot上のHDIの方が安くなるという

  • Proliant m700のカートリッジ構成

  • Proliant m300のカートリッジ構成

  • 1Uラックサーバ40台の性能がMoonshotの新製品だと40カートリッジですむとしている

ARMやFPGAも搭載へ

 Moonshot Systemは、ハイパースケール事業である「Project Moonshot」の一つ。シャーシに納められたカートリッジ型のサーバは汎用ではなく、用途に最適されたもので、各カートリッジが独立した設計となっていることが特徴だ。

 今回新たにリモートデスクトップ、動的ウェブ、Windowsサーバに対応し、バリエーションとしても4ノードカートリッジ、180ポートの1ギガビットイーサネット(GbE)スイッチに対応した。

 「Moonshotの適応領域は大幅に拡大しつつある。今回、対象アプリケーションや対象市場を拡大させて、適用できるワークロードの拡大と構成バリエーションの多様化を実現した。将来的には、ARM採用、DSP搭載、FPGA搭載、ビッグデータ対応、HP Cloud OSへの対応、スモールスタート、BTOモデル、10GbE対応と適用できるワークロード、構成バリエーションを拡大していく」(HPサーバー事業統括本部 HPサーバー製品統括本部 統括本部長 橘一徳氏)

 Moonshot Systemのラインアップに追加されたのは、「HP ProLiant m700 サーバーカートリッジ」「HP ProLiant m300 サーバーカートリッジ」の2機種。

 ProLiant m700は、1つのカートリッジに独立した4ノードを実装し、4.3Uのシャーシに45カートリッジ180ノードを実装可能なサーバカートリッジ。CPUコア4基、GPUコア128基を持つというサーバ向け省電力APU「AMD Opteron X2150」を搭載し、「Windows 7」などのクライアントOSをサポートすることで、仮想化しないリモートデスクトップ環境に最適という。

 ProLiant m300は、アーキテクチャを刷新した最新のサーバ向けCPUのAtom C2750と32Gバイトのメモリを搭載。ウェブサーバ用途のみならず、コンテンツ配信、ビッグデータのオンライン分析などの処理性能が求められるニーズに適用可能と説明。また、1ソケット対応の一般的な1Uラックマウント型サーバとの比較で、電力とスペースの削減効果を含め、5年間で約45%の総所有コスト(TCO)を削減できるとしている。

 ProLiant m700は1シャーシ、45カートリッジ、スイッチ含めた価格が2248万8900円から。ProLiant m300は1シャーシ、45カートリッジ、スイッチ含めた価格が1607万9700円から。

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