埼玉縣信用金庫は、ネットバンキングやホームページを利用する顧客をフィッシングや不正送金の被害から守る対策として、金融機関向けセキュリティソフト「PhishWallプレミアム」を採用し、4月23日から運用している。セキュアブレインが発表した。
フィッシングに使われる「MITB(Man in the Browser)攻撃」では、マルウェアがHTTPやHTTPSの通信の中間に入り込んでハッキングし、偽のポップアップ画面を表示する。この画面は、正規のサイトで表示されるため、顧客が偽物と見抜くことが難しく、注意喚起以外の具体策が急務という。
埼玉縣信用金庫が採用したPhishWallプレミアムは、MITB攻撃特有の「ふるまい」を検知するため、未知のウイルスでも無効化できる機能を持つ。
ユーザーに無料で配布される「PhishWallクライアント」と金融機関側で設定する「PhishWallサーバ」との間で認証情報をやり取りし、ユーザーのPC側からアクセスした企業のウェブサイトが正しいことを証明する。
この場合、ユーザーのPCのブラウザに緑のシグナルが点灯する。ユーザーがPhishWallプレミアムを導入した企業のウェブサイトにブラウザでアクセスする際、ユーザー自身のPCがMITB攻撃型ウイルスに感染していないかチェックする。感染の徴候を発見した場合は、赤のシグナルと、警告メッセージを表示する。
ネットバンキングのサイトで、偽のポップアップ画面を出すことにより、暗証番号や乱数表の内容を不正に盗み取り、その情報を元に現金を引き出すという手口での被害が拡大している。警察庁の発表によると2013年度にネットバンキングの不正送金の被害額は14億円以上、2014年に入っても前年度を上回るペースで被害が発生している。