大手ベンチャーキャピタルKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)のパートナーであるMary Meeker氏は米国時間5月28日、Re/code主催のCode Conferenceにおいて、インターネットトレンドの年次レポートを発表し、テクノロジ分野やビジネス分野の幹部に影響を及ぼしそうなポイントをいくつか指摘した。
同カンファレンスで示されたこれらのポイントに目新しさはないが、企業やそのベンダーが後れを取っているかもしれない分野に焦点を当てたものとなっている。
企業にとって同レポートのなかで重要なのは以下の点だ。
マーケティング:Meeker氏の指摘によると、ソーシャルグラフやそれに関連するメッセージングは、Facebookのような、少数のメッセージを大規模なオーディエンスに向けて発信する形態から、少人数のグループ内で頻繁にやり取りする形態へと変化してきているという。後者のやり取りはマーケターにとってより価値を持ったものになる可能性がある。広告主にとっての課題は、SnapchatやWhatsApp、Tencent上で交わされているこれらのメッセージに、顧客に不快感を与えずに入り込む方法を見つけることだ。
目的を絞ったアプリ:単一目的のアプリが爆発的に増加しており、Facebookのような企業までもが「Messenger」や「Instagram」といった単一の目的に特化したアプリを提供するようになっている。興味深いのは、企業向けソフトウェアのベンダーがこのところ、自社アプリのスイート化という逆のアプローチに向かう場合もしばしば見られるという点だ。その一方で、アプリは本当の意味でのサービスレイヤになってきている。企業向けソフトウェアのベンダーはたいていの場合、こういった動きに後れを取っているという点を考えれば、複数目的のアプリから単一目的のアプリへの転換には1年ぐらいかかると考えればよいだろう。
ビッグデータ:さまざまな機器でのセンサ利用が爆発的に拡大した。これにより企業はより多くのデータをマイニングできるようになる。
クラウド:コンピューティングのコストは年間で33%低下し、ストレージのコストは38%低下した。また、ネットワーク帯域のコストも年間で27%低下した。これらの数値はDeloitte Touche Tohmatsuの調査によるものだ。こうしたコストの低下によりクラウドが利用しやすくなった結果、既存のハードウェアベンダーが窮地に陥る可能性もある。
ユーザーインターフェースが重要:Meeker氏は、業界のアプリケーションを提供する新たな方法が出てくるにしたがい、劣ったユーザーインターフェースが姿を消すと主張した。これはコンシューマーの立場から見るとその通りだが、デザインは今のところまだ企業の主要な能力と見なされるようになっていない。
モバイルファースト:あらゆる企業はモバイルを最優先で考える必要がある。顧客がインターネットへのアクセスに用いるのはモバイル端末になる可能性が非常に高い。
世界のインターネットトラフィックに占めるモバイルトラフィックの割合(%)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。