米CA Technologiesは、個人IDの持ち込みを意図する「BYOID(Bring Your Own Identity)」に関する調査結果を発表した。IT部門と事業部門の双方が、BYOIDのイニシアチブに価値を見出しているという。
また、回答者はBYOIDが広く受け入れられるためには、より強固なセキュリティが必要であると認識しているとのこと。
・現状
ソーシャルIDを使ったBYOIDの展開はいまだ初期段階ながら関心は高く、モバイルとウェブユーザーにおいては特に顕著な傾向がみられる。BYOIDと各種ソーシャルID(Facebook、LinkedIn、Yahooなど)の使用について、高い割合で関心が寄せられている。50%のIT部門ユーザーと63%の事業部門ユーザーが、高い関心、または非常に高い関心を示している。
ウェブとモバイル機器を通じてビジネスに関わっている顧客は、ターゲットとするデジタルIDによる契約において最も高い割合を占め、従業員、契約労働者、退職者といった他の集団を上回った。
・価値
今となってIDは、セキュリティコンポーネントであると同時に、成長に寄与する資源とみなされている。IT部門ユーザーと事業部門ユーザーの双方で、組織においてBYOIDを受け入れことを重要と考える理由において、意見が一致している。それは、強力なアイデンティティクレデンシャルを実現し、個々のユーザーが本当にその人自身なのかという確証を得ること(それぞれ69%および65%)。
一方で、事業部門ユーザーは、ユーザーにおける属性の把握が最大の利点であるとしている(95%)。このことは、IDの捉え方が進化していることを示唆しているという。IDは、もはや単にデータを保護するものの一つとしてみなされることはなくなり、増収を導き、顧客維持を支援できるデータを提供可能な価値ある資産存在となっているというのだ。
・BYOIDの拡張
セキュリティがさらに進化することにより、BYOIDが広く受け入れられる可能性がある。IT部門ユーザならびに事業部門ユーザの大半は、「ID検証プロセス」がBYOIDの受け入れを助長させると回答(それぞれ72%および70%)。不正行為防止のためのリスクエンジンの導入もまた、両部門においてトップ3にランク付けされている。
興味深いことに、IT部門ユーザの59%が正式な認証評価が非常に重要あるいは必須と回答しているのに対して、事業部門ユーザでは27%にとどまった。
・IDプロバイダーについての認識
今回の調査における回答者には、IDプロバイダーが状況や地域によって多様であることを好む傾向がみられた。どのようなソーシャルIDが自部門にとって一番興味深いか尋ねたところ、IT部門ユーザーはすべての地域においてPayPalが最も好ましいIDプロバイダーとして挙げている。
事業部門ユーザの回答では、AmazonがややPayPalやMicrosoftを上回るという形で回答が分かれた。消費者としてどのようなソーシャルIDを好むかという問いについては、IT部門および事業部門ユーザーの両方でGoogleが最高位となった。
この調査はプライバシー、データ保護、情報セキュリティポリシーを専門とする独立系調査会社Ponemon InstituteがCAの委託で実施したもので、6月末に完了した。調査の対象は、北米、ブラジル、UK、フランス、ドイツ、イタリア、インド、オーストラリアのIT部門と事業部門プロフェッショナル3115人。全回答者が従業員1000人以上の組織に所属し、そのうちの75%が年間収益5億ドル以上の組織だという。