旭川藤女子高校、生徒にiPad miniを無償配布--「21世紀型スキル」獲得のため

NO BUDGET

2014-09-25 06:00

 北海道旭川市の学校法人藤学園旭川藤女子高等学校は9月24日、新しい学力向上プログラム「藤の学び改革」の一環として、8月26日に1、2年の生徒全員にiPad miniを無償配布したと発表した。生徒は、タブレット端末を、自分の考えを短時間でプレゼンテーションにまとめて級友に発表したり、電子掲示板で自分の意見を述べるなど新たな学びの道具として活用する。

 2015年度の新入生に対しても全員に無償配布してタブレット端末1人1台の環境を実現する予定で、以後は全校で学力向上や21世紀型スキル向上のために活用していくという。

 「藤の学び改革」は、同校が今年度から始めた取り組み。「アクティブラーニングスタディタイム」「DEタイム」「PDSノートブック」という3本のプログラムを柱として、学力の向上や、変化する社会に対応できる資質や能力「21世紀型スキル」の習得を目指すというもの。21世紀型スキルには、問題解決能力、コミュニケーション能力、コラボレーション能力、自律的活動能力、建設的質問能力、メタ認知能力、情報リテラシーなどが含まれる。

 通常の授業時間には、アクティブラーニングスタディタイム(能動的な学習)の考え方を取り入れ、インプットフェーズ(新単元解説の30分間)、アクティブフェーズ(演習・課題解決学習を行う20分間)、リインフォースメントフェーズ(旧単元復習の20分間)の3フェーズ70分間で授業1コマを構成。生徒は主に中盤のアクティブフェーズでタブレット端末を活用し、ディスカッション、簡易プレゼン、協働学習、探求学習など能動的な学びの中で、各自の頭の中に知識を構築していく。


グループ学習の様子

 毎日の昼休み前にはDE(ディベロップメンタルエデュケーション)タイムとして、35分間で生徒が能動的に一人一人異なるメニューを勉強、「学び直しと発展学習」を行う。小学校から高校3年生までの学習プリント18万ページが収録されている教材データベースシステムから、各生徒が自分の弱点を記した学び直しプリントをタブレット端末でダウンロードし、各自のペースで克服していく。できなかったことができるようになる喜びを味わうための時間だという。

 PDSノートブックは、Plan、Do、SeeのPDSサイクルを実践することで「自律」を育むためのプログラム。生徒一人ひとりが、PDSノートブックに、自分で自分が何をするのか、何をしたいのかを記入し、自分で作ったプランを自分で実行し、そして、自分の行動がどのような結果になったかを分析して記入し、その原因を振り返ることで向上スパイラルを生み出す。


女子高生にとってカメラ性能は重要です

 タブレット端末は授業で利用しやすく「英語の授業で、タブレット端末を使ってインターネット検索を活用し、短時間でプレゼンを作ることができた」「数学の授業で理解できなかったところは、後でもう一度先生の説明動画をタブレット端末で見ながら復習できる」「古典の授業で調べたことをみんなで共有することができて、楽しかった」など、生徒に好評とのこと。

 なお、タブレット端末は卒業時に返却するなどの義務はなく、学校側では各生徒が自分のものとして愛着を持って活用してもらうことも期待しているという。実際の利用シーンでは、ケースやデコレーションなどで各自が自分だけのタブレット端末として扱っている。


ケースで個性を出す

 旭川藤女子高では、自己を積極的に表現することが好きな生徒や他者とコミュニケーションを前向きに取ろうという姿勢を持つ生徒が多い女子高には、タブレット端末の全面的な導入がプラスの効果をもたらすと分析している。

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