大きな環境変化に対応し、あなたの会社が「20年後」も存在するために--いまワークスタイル変革を急ぐべき理由 - (page 3)

齋藤公二 (インサイト)

2014-10-03 06:30

社員の心理や選択権に注目すべき

 そこでポイントになるのが社員の心理に注目することだ。水上氏は、このシャドーITに見られるように、現代のワークスタイルの多くは、社員に犠牲を強いる「従業員犠牲型」になっていると指摘する。つまり、社員がみずからの生産性を上げようとしているのに、人事や総務部門では社員を管理しやすいように制度を作り、人件費削減のために残業代を減らそうとする。また、IT部門はセキュリティリスクを最小にすることを優先する。

水上氏
水上氏

 「ワークスタイル変革の取り組みは、労働時間を減らすといった、社員の物理的負担を和らげる施策でした。しかし、心理的負担に注目すれば、労働時間を減らすのではなく、社員に強いている犠牲を取り除くことが重要になります」(水上氏)

 では、従業員は何を犠牲にしているのか。水上氏によると、それはたとえば「自分の時間の使い方を自分でできないこと」「業務の種類にかかわらず同じ業務環境を与えられること」「環境改善に諦めムードがあること」「業務環境を構想する機会すら与えられていないこと」などだという。

 「つまり、従業員に選択の余地がないということです。選択の余地のない業務環境は仕事のメリハリをなくしてしまいます。逆に言えば、真のワークスタイル変革とは、従業員にベストな選択肢を与えることなのです」(水上氏)

経営にオリジナリティを

 選択肢を与えることで成功している事例として水上氏が挙げたのは、次のような国内企業の例だ。この会社では2007年に、裁量労働制の「ワーク重視型」、9~18時勤務の「ワークライフバランス型」、時給制の「ライフ型」という3つを社員が自由に選択できる人事制度を導入した。2012年からは、働く場所や時間に制限を設けない「ウルトラワーク」や取得回数に制限のない在宅勤務制度などを導入した。これにより、従業員の満足度を上げ、離職率を大幅に下げることができたのだという。

 そんななか、水上氏が提案するのが、ワークスタイルのモデルを機能ごとに定義し、それにあった環境を提供していくというアプローチだ。具体的には、営業、企画、事務などといった画一的な職種ではなく、ネゴシエーター、クリエイター、コンシェルジュアテンダント、ワーカー、マネジャー、ストラテジストなどといった機能ごとのモデルに応じて、ITや働く場所、制度などを提供していく。そのうえで、システム、オフィス環境、制度改革、変革ビジョン、カルチャーといった要素を複眼的な視点で進めることが重要だという。

 「労働環境が変わるなかで、日本企業は海外などの新しいマーケットに打って出ていくことが求められます。従業員に画一的な働き方を強いるのではなく、選択肢を与える。それにより、オリジナリティのある経営を行っていってほしいと思います」(水上氏)

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