日立製作所は10月8日、機器の状態を遠隔で診断し、故障につながる状態変化や異常(故障予兆)を早期に検出して高度な予防保守を実現する「Global e-Service on TWX-21/故障予兆診断サービス」を開発し、グローバル市場で機器の製造・販売・保守を展開する企業向けに、10日から販売を開始すると発表した。
費用は月額180万円(税別、導入費用等は別途)から。提供開始は2015年3月を予定しており、販売目標は2018年度までの累計で50億円とのこと。
「Global e-Service on TWX-21/故障予兆診断サービス」の利用イメージ(日立提供)
同サービスは、SaaS型機器ライフサイクル支援サービス「Global e-Service on TWX-21」の新メニューとして、日立独自の分析技術を用いた故障予兆診断システムをクラウドサービスとして提供するもの。日立独自の分析技術に基づく診断アルゴリズムを活用して機器の状態を遠隔で診断し、早期に故障につながる状態変化や異常を検出するシステムとなっている。
機器の正常な状態をシステムに学習させて機器の状態を診断するため、あらかじめしきい値を設定して技術者の経験やノウハウをもとに機器の状態を監視する従来の手法よりも、機器の特性や設置環境に影響されにくく、より高精度に故障につながる状態変化や異常の予兆の検出が可能になるという。
導入の際には、日立のビッグデータ利活用の専門家「データ・アナリティクス・マイスター」が導入を支援し、機器ごとに最適化した高精度な故障予兆診断を実現、機器の稼働率向上と保守費用の低減を支援する。
サービスの主な特徴は以下の通り。
・日立独自の分析技術に基づく診断アルゴリズムで高精度な診断を実現
日立独自の分析技術である「ベクトル量子化クラスタリング(VQC:Vector Quantization Clustering)」または「局所部分空間法(LSC:Local Sub-space Classifier)」に基づく診断アルゴリズムを活用して機器の状態を遠隔で診断し、早期に故障につながる状態変化や異常を検出するシステムをクラウドサービスとして提供。
機械学習技術を応用して機器の正常な状態のセンサーデータを学習させ、機器ごとに事前に作成した診断モデルに基づき、そのデータとの差異を異常度として出力し、故障の予兆かどうかを診断する。機器の特性や、設置場所の違いによる使用状況の差異などを加味した診断が可能で、より高精度で故障の予兆を検出できる。
・機器ごとに最適な診断モデルの作成を支援
診断モデルの作成にあたっては、日立のビッグデータ利活用に関する専門家である「データ・アナリティクス・マイスター」が、実際の各機器のセンサーデータを用いて、2つの診断アルゴリズムの適用性の評価をはじめ、診断方法の具体的な検討、性能評価などを行い、機器ごとに最適な診断モデルの作成を支援する。
・診断結果の見える化による効率的な予防保守計画の実現
機器のセンサーデータや故障予兆診断の結果はブラウザ上で確認可能で、機器別のセンサーデータの推移や、機器別、日別の異常の有無のサマリー情報、診断アルゴリズムで算出した異常度のグラフ表示など、さまざまな側面からの機器の状態の見える化を実現。
さらに、Global e-Service on TWX-21の機械管理台帳やサービス情報管理機能などと連携させ、故障予兆診断の結果と照合することで、効率的な予防保守計画の策定を支援する。また、グローバルに展開されている各機器の稼働状態、故障予兆の遠隔監視を実現。
「Global e-Service on TWX-21」のサービス構成(日立提供)
日立は今後、故障予兆診断サービスの機能を拡充するとともに、Global e-Service on TWX-21の機器管理や保守履歴管理、M2M(Machine to Machine)などの機能との連携を強化していく。
また、スマート情報分野における製品・サービス群を Intelligent Operations(インテリジェント オペレーションズ)として体系化しており、今回新サービスを追加したGlobal e-Service on TWX-21を中心に、製造業向けソリューション「Intelligent Operations for Manufacturing」の開発、提供を推進し、製品やシステムの稼働率の向上と保守費用の低減を実現していくとしている。