Stephen Hawking氏は、神の不在を信じていると以前から表明していた。しかし、この世界には、大衆が身を寄せ合って不安や興奮を共有する特別な教会がある。その教会の呼び名は「Facebook」。以前から神の不在を説いてきたホーキング氏にとって、喜びと教育の双方を求めてその教会に足を踏み入れるのは、必然だったのかもしれない。Hawking氏はFacebookへの投稿で、我々人類の存在理由に関する考察を皆と共有したいと述べている。ちなみにここでいう「存在理由」とはもちろん、我々がFacebookに存在している理由ではなく、地球上に存在している理由である。
Hawking氏は初投稿で次のように述べている。「私はなにが宇宙の存在を可能にしているのか不思議に思ってきた。時間と空間の謎は永遠に解明できないかもしれないが、私の探求が止まることはない。人々のつながりが無限に拡大した今、ついに私の探求を皆さんと共有するチャンスが訪れた。私の好奇心は永遠に続く。皆さんも常に好奇心を持ち続けて欲しい」
彼ほどの人物がFacebookに投稿したら、どれほどの注目を集めるか想像に難くない。彼が獲得した「いいね!」の数は、本稿執筆時点で早くも130万件を突破した。
米国時間10月24日、彼は注目してくれた人々への感謝を込めて、アイスバケツチャレンジの動画を投稿した。それは、2013年に肺炎を患った彼の代わりに、彼の息子と娘達が氷水を被るという心温まる内容だった。
Hawking氏はその後、先日開催された「Starmus Festival」についても投稿している。科学とロックミュージックをこよなく愛する同氏は、投稿の中でこの天文学の一大イベントをどれだけ楽しんだのかを語っている。その中で彼は、Richard Dawkins氏のエイリアンに関する講演を楽しんだ経緯にからめて、「そういえばロボットみたいな声のせいで、私のことをエイリアンだと思っている人がいるようだ」とジョークを飛ばした。
提供:Screenshot by Chris Matyszczyk/CNET
ホーキング氏を、暗闇を照らす一条の光のごとく信奉するメンバー達の多くは、氏のFacebook降臨をおおいに歓迎しているようだ。しかし非凡な知的能力を発現させる彼の登場は、信奉者達とともに、彼の言動に批判的な人間達も引き寄せる結果となっている。すでに批判的なコメントが少なからず書き込まれているが、おそらくこれから数週間以内に、ホーキング氏は信仰上の敵対者との対決を余儀なくされることだろう。
とはいえ、メンバー達から寄せられている知的なジョークの数々は楽しむに足るものである。筆者が最も気に入ったコメントには次のように書き込まれている。「くれぐれも気を付けて欲しい。あなたはFacebookから時間の膨張に関する真理を学ぶことになるだろう。コメントや記事のチェックに1時間しかかけていないつもりなのに、現実世界で8時間も過ぎていたことに突然気付かされる」
Facebookというブラックホールに吸い込まれたホーキング氏がどのように変容するのか、興味は尽きない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。