独ニュルンベルクに本拠を置くSUSE LLCは現地時間10月27日、SUSE Linux Enterprise 12(SLES 12)を発表した。SLES 12は、多くの改善が加えられた待望のリリースだ。今回は、SUSEの製品マーケティングマネージャーGeorge Shi氏と、戦略的マーケティング担当ディレクターKerry Kim氏に新機能について話を聞いた。
筆者は新機能の中でもジオクラスタリングに目を引かれた。これは、WANやインターネット越しにクラスタリングを行うための機能であり、災害復旧などにも効果を発揮する。
災害復旧というと、地震やテロリストの攻撃など、大規模な問題を思い浮かべがちだが、それほど劇的な問題でない場合もある。たとえば、通信回線の切断により、データセンター全体がオフラインになることもある。SLESのジオクラスタリング機能は、登録が必要な有料サービスだが、筆者はそれだけの価値があると考えている。
SUSE Linux Enterprise 12をベースとした新しいOSとソフトウェア拡張には、次のものが含まれる。
SUSE Linux Enterprise Server for x86_64、IBM Power Systems、IBM System z:さまざまな物理環境、仮想環境、クラウド環境でビジネスに不可欠なITサービスを提供する多用途サーバ用OS。フルシステムロールバック、ライブカーネルパッチ適用などの機能は、データセンターのアップタイムを上昇させ、運用効率を改善する。
SUSE Linux Enterprise High Availability Extensionおよび同拡張用のジオクラスタリング:サービスの可用性を向上させるクラスタリングソフトウェア。新しいウェブコンソール、最新のOCFS2とGFS2ファイルシステムのサポート、および災害復旧のためのReaRの最新アップデートにより、中核的なビジネスシステムを素早く容易に守ることができる。
SUSE Linux Enterprise Virtual Machine Driver Pack:Linuxホスト上のWindows仮想マシンの性能を向上させる。「Windows Server 2012 R2」、「Windows 8.1」など、対象とするWindowsの幅が広がった。
SUSE Linux Enterprise DesktopおよびSUSE Linux Enterprise Workstation Extension:コストを低減し、セキュリティを向上させながら生産性を改善させる。
筆者は「Ubuntu」や「Debian」ベースのシステムも高く評価しているが、Kim氏は会話の中で、「それらはエンタープライズ向けディストリビューションではない」と端的に指摘した。彼らはそれらを同じ市場の競合相手とさえ考えていないのだ。
SUSE Linuxは、SAP、CRM、ERP、データベース、「Watson」など、極めて重要性の高いワークロードを稼働させるのに利用されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。