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食の流通を変え、「サハラ砂漠で懐石を」--八面六臂の松田代表

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-11-13 07:00

 八面六臂は、プロの料理人向けのeコマース(EC)として、現在、水産物を中心に扱うサービスを提供している。それを実現しているのが、Appleの「iPad」を利用した食料品ECサービス「八面六臂」と、自社のフルフィルメントセンターをはじめとする独自ルートの構築だ。今回は、同社の代表取締役である松田雅也氏に、同社の業務内容や取り組み、今後の展開などについて話を聞いた。

--八面六臂とはどのような企業か。


八面六臂 代表取締役 松田雅也氏

 基本的には食材などのECですが、対象を寿司屋や居酒屋、洋食屋などのプロの料理人に限定したサービスです。現在は水産物を中心に、特に生鮮品に強く、高級魚や希少品など、他のECでは取り扱っていないような商品を早く、安く、そして豊富な品揃えで提供できることが強みです。

 日本の一般的な水産流通をグロスで見た場合、漁師から約1兆円で出荷されたものが産地市場、築地市場、納品業者などを経ることで、飲食店に流通されるものは約3兆円に膨らみます。それがさらに約10兆円で消費者に売られていくわけですが、この約1兆円から約3兆円へ膨らむ過程の半分くらいは無駄なコストであり、また無駄な時間がかかっています。


八面六臂のビジネス構造

 日本の飲食店市場には、チェーン店が約20万店舗ほどあり、また中小個店が約100万店舗あります。この100万店舗以上の飲食店層に対して、水産物や青果、精肉、酒類などの食品流通全体で約10兆円ほどの市場規模が現在あるといわれております。当社は、まず約100万店舗あるといわれるこの中小個店分野を中心に、さまざまな流通経路から買い付けたものを販売しております。

 納品までの流れとしては、まず料理人が仕入れをするときにiPadアプリ「八面六臂」から品物を選んで注文します。そして翌日、注文のあった品物をわれわれのフルフィルメントセンターから梱包して発送します。

 配送までを担う点が他のECと最も違う点です。モデル構築に手間がかかりすぎるため、競合企業では5~10年経ってもできない事業だという自負があります。Amazonや楽天が可能なビジネスなら、われわれがやることはありません。水産物に加えて野菜や肉、米、酒類も扱う予定で、扱う食品の項目を今後は拡大していく予定です。

--八面六臂を始めた経緯とは。

 前職は、総合物流ホールディングの子会社にて、仮想移動体通信事業(MVNO)を展開する会社に勤めていました。そこでいくつかのプロジェクトを展開してきたのですが、その中でたまたま水産業の方との接点がありました。水産流通は市場規模が大きいのに、うまくIT化できておらず、非効率な部分がとてもたくさんあることがわかりました。そこでこの業界の抱える問題を解決してみようと考えたのですが、2009年当時ではまだハードとソフトの両面において不十分で、課題解決のための環境が整っていないということで、プロジェクトは実現できませんでした。

 しかしその後、2010年にiPadが発売され、ソフトとハード、そして通信インフラの環境も整備されてきて「これはできる」と思ったことと、そして僕自身が前職を辞め、改めて自分自身で事業を立ちあげたいというタイミングが重なったことをきっかけに起業することにしました。水産業については幾ばくか、予備知識がありましたし、ビジネスコンセプトを作るのは自分の得意なところでした。iPadはPC並みに性能が高く、情報の収集も発信もでき、位置情報も取得可能です。IT化の進んでいない水産業界はまさにうってつけだったのです。

 最初の頃は全てアウトバウンドで、電話やファクスをきっかけに顧客を獲得していきました。あくまで当社は食品を販売する会社として営業し、それで取引開始が見込めると、「ファクスではお互い面倒だから」ということで八面六臂のアプリを入れたiPadを渡していきました。早い段階でiPadを顧客に配布したこともわれわれの特徴だと思います。

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