ネットワークセキュリティの要諦

ゼロデイも標的型攻撃も防ぐ--多層防御のすすめ

三輪 賢一(パロアルトネットワークス)

2014-12-12 07:00

 この連載で情報漏えいを引き起こすのは「善意の内部ユーザー」「悪意の内部ユーザー」「悪意の外部ユーザー」の3タイプだという説明をしてきました。今回は「外部ユーザーの悪意」による情報搾取について詳しく解説します。

悪意の外部ユーザーとは

 「悪意の外部ユーザー」の特徴は、ターゲットとなる会社やデータセンターを直接狙わず、セキュリティのぜい弱なところを狙ってくるということです。委託企業のシステムとつながっていてその会社のネットワークにぜい弱性があれば、そこを発端に攻撃が始まります。

 米国の大手スーパーTargetで2013年11月、1億件以上のクレジットカード情報が盗まれるという事件が起きました。この事例では空調会社の従業員にフィッシングメールが送られ、それを発端に大手スーパーのシステムにマルウェアが忍び込みました。

 この事例についてもう少し細かく見ていくと、標的型攻撃対策は既に導入済みで監視センターでは攻撃に使われたマルウェアの侵入を検知していました。しかしネットワークでマルウェアをブロックする設定になっていなかったため、結果的に侵入、拡散、そして情報の外部流出を許してしまいました。

 自社システムの脆弱性には気づいていたが、経費削減という経営側の方針によりセキュリティが業界水準以下のままであったとのことで、その責任をとって最高経営責任者(CEO)や経営陣が辞任に追い込まれ、さらに株主から追加のペナルティが提案されました。

 日本における2014年上半期の情報漏えい事件を追ってみても、悪意の外部ユーザーを発端とする事例が多く挙げられます。

 3月に公開されたOpenSSLのぜい弱性を狙ったHeartbeat攻撃では、国内大手クレジットカード会社がパッチを当てるまでの期間に攻撃され、個人情報を盗まれる事件がありました。他にもInternet Explorer(IE)のゼロデイぜい弱性の発覚や、Windows XPのサポート終了など、外部から攻撃を受けるきっかけは日々発生しています。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]