フラットデザインから映画「マイノリティ・リポート」風のタッチスクリーン、「Google Glass」まで、未来のユーザーインターフェースについては、相反するさまざまなアイデアが存在する。Bill Fernandez氏もある展望を抱いている。
筆者は先ごろ、Fernandez氏の特集を執筆した。その中で、UIや次世代インターフェースについて、同氏は示唆に富んだ考えを示唆している。本稿はUIや次世代インターフェースに関する、同氏の考えの抜粋である。
1. フラットデザインへの移行が進む中、ユーザーを無視してはならない
「現在は過渡期だ。川が海に注ぐところまで来ると水に塩気が混じるように、UIデザインの現状は混沌としている。今でもいくつか優れたUIデザインが存在し、その数は以前よりはるかに増えているが、劣悪なものも依然として多い。意図は正しいが的外れの取り組みもたくさんある。その一例が、写真のようにリアルな3次元のUI要素(ウィンドウフレーム、プッシュボタン、スライダーなど)から『フラット』なUIデザインへの移行だ。何年も前に、未来のウェブページはどのようなものになるのか、と友人に尋ねられたとき、私は『雑誌のようになる』と答えた。よりフラットなデザイン、技巧を凝らしたタイポグラフィ、美しい雑誌広告のようなページレイアウトなどが登場すると考えていた。その予想が今、現実になろうとしている」(Fernandez氏)
「しかし、フラットデザインへの移行が進むなかで、旧来の3DスタイルのUIに込められた英知の多くが失われようとしている。例えば、ユーザーは画面を一目見ただけで、インタラクティブな要素(ボタンやリンクなど)とそうでないもの(ラベルや標語など)を識別できる必要がある。画面を一目見て、インタラクティブな要素の機能(何らかのプロセスを開始するものなのか、別のページへのリンクなのか、文書をダウンロードするのか、など)を認識できなければならない。UIは探索と発見が可能で、自明のものであるべきだ。しかし、多くのアプリやウェブサイトはすっきりとした簡素な見た目を実現するために、重要なUIコントロールを画面から隠し、マウスをその部分に重ねたときや、アプリが適切な状態にあるときにしか表示されないようにした。そのため、ユーザーはどうすればいいか分からなくなり、苛立ちや無力感を覚えることが多くなった」(Fernandez氏)
2. マイノリティ・リポート風タッチスクリーンは非現実的
「マイノリティ・リポートや『アイアンマン』『アバター』に登場する透明なパネルを利用するというアイデアは概ね非現実的だ。腕を振っていたのでは、正確な操作はできない。アイアンマンのトニー・スタークは、透明のパネルでさまざまなものをデザインする。現実世界では、何時間もかけて概念図を描き、正確な機械設計図を作成しなければならないだろう。空間で手を振る操作方法で、そんなことができるはずがない。腕が疲れてしまうはずだ。したがって、あまり現実的な操作方法ではない。透明ディスプレイを通して人間にカメラを向けるというのは、映画の中では本当に見栄えがいい。しかし、現実世界でこうしたものが実際に使われることはないだろう」(Fernandez氏)
3. 研究が進む未来のマルチモーダルUI
「GoogleがGlassプロジェクトを発表する何年も前、私は次のような未来予想図を描いた。人々がStarbucksで椅子に腰掛けて遠くを見つめ、頭をぴくっと動かして、不思議な魔法をかけるように手を振り、ぶつぶつひとりごとを言う時代がやって来る。なぜか。バーチャルなデータ画面をユーザーの目に投影するプロジェクタが登場するからだ。視覚、音、声、頭の動き、腕の動き、ジェスチャー、バーチャルキーボードへの文字入力などを使用するシームレスなマルチモーダルUI体験が可能になる。この分野の研究は何十年も前から行われている。最近ようやく、Google Glassや『Siri』といった形でコンシューマー市場に登場し始めたばかりだ。まだまだ先は長いが、われわれは今、その道の上を歩いている」(Fernandez氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。