臨床研究で注目--シャープのプラズマクラスターイオン、ぜんそくに効果

大河原克行 2015年02月23日 15時37分

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 シャープが開発したプラズマクラスターイオン技術が、ぜんそく患者に効果があるとの臨床研究成果が注目を集めている。マレーシアやシンガポールで発生している煙害「HAZE(ヘイズ)」に対しても、プラズマクラスターイオン搭載空気清浄機の効果があることが実証され、現地で注目を集めている。

 ぜんそく患者に効果があるとする臨床研究成果については、シャープが2014年9月、東京大学医学部附属病院臨床研究支援センターに委託して実施した、小児アトピー型の軽症と中症のぜんそく患者130人を対象とした臨床研究で、小児アトピー型ぜんそくの気道炎症レベルが低減した結果で証明された。プラズマクラスター技術が、実際の生活環境で健康に対して貢献する結果が初めて出たとも言える。

 プラズマクラスター技術は、プラスイオンとマイナスイオンを同時に空中へ放出し、浮遊する細菌やカビ、ウイルス、アレルゲンなどの表面で、瞬間的にプラスとマイナスが結合して酸化力の非常に高いOHラジカルに変化。化学反応によりアレルゲンなどの表面のたんぱく質を分解して、その働きを抑制できる。

 これまでにもトリインフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)などの各種ウイルス、浮遊カビやダニのふん、花粉などのアレルゲン、大腸菌やセレウス菌などの細菌、ビルカンデラ菌やアスペルギルスといった真菌に効果があることを第三者機関で実証。GLP(優良試験所基準)に適合した試験施設で皮膚や目への影響、吸入による遺伝子や身体、器官、母胎や胎児への影響で安全性があることを確認している。そして、最近では、美肌や美髪、肌保湿にも効果があることが実証されている。

 だが、今回の研究成果は、臨床研究という点で、その研究活動を一歩進めた検証であり、そこで成果が確認されたことは、プラズマクラスターイオンが医療分野でも貢献できる技術であることを示すものだ。

 「臨床試験は、3年間の準備期間を経て、ようやく取り組んだもの。これまでにはない、1cm3あたり約10万個のイオン濃度を発生するデバイスをどう生かすかということを考えてきた結果、たどり着いたのが臨床研究での医療分野での効果を実証すること。空気をきれいにするというだけでなく、社会的に新たな貢献ができないかという観点から、プラズマクラスターイオンへの取り組みを進化させることになる」(シャープ 健康・環境システム事業本部 プラズマクラスター機器事業部 副事業部長兼海外商品企画部長 冨田昌志氏)

類がない臨床研究

 実施した臨床研究は、6~15歳の小児アトピー型の軽症と中症のぜんそく患者130人が対象。被験者を2つに分け、自宅居室に最大能力で約1cm3あたり約10万個のイオン濃度を発生する臨床研究の専用イオン発生装置と、これと同じ形でイオンを発生しない装置を設置する二重盲検ランダム化臨床試験方法を用いて実施した。

 それぞれの装置を各8週間ずつ、自宅の寝室や居間、子供部屋のうち、被験者の滞在時間が長い2つの部屋に設置。FeNO値(呼気一酸化窒素濃度)の変化量、ぜんそく症状の変化、呼吸機能値の変化量などを測定した。

 その結果、全体の集計では、イオン発生機の設置状況よりも、イオンを発生しない機器を設置した方が、FeNO値の変化量が大きく、期待した成果が得られなかった。しかし、初回観察時に、症状が重症化していた被験者が数人おり、症状の変化に激しさがみられた。

 これら被験者を除いたサブグループとして、初回のFeNO値が60~90の被験者に対して解析したところ、イオン発生装置の場合には、FeNO値の下降がみられ、改善したことがわかったほか、同様に肺の末梢気道の狭窄を表す指標であるV25(フローボリューム曲線)は上昇し、ここでも改善傾向がみられたという。

 臨床試験に携わった中央大学理工学部教授兼東京大学名誉教授の大橋靖雄氏は、「小児ぜんそく患者に対する家電技術の二重盲検ランダム化臨床試験は、他に類がなく、今回の試験は先駆性が高い」と前置きし、「今回の臨床試験でプラズマクラスター技術が小児アトピー型の軽症と中症のぜんそく患者の気道炎症レベルを低減する可能性があることを見出した。プラズマクラスター技術が社会へ貢献することを示唆したもの」とコメントする。

冨田昌志氏
シャープ 健康・環境システム事業本部 プラズマクラスター機器事業部 副事業部長兼海外商品企画部長 冨田昌志氏

 東京慈恵会医科大学附属第三病院小児科診療部長で、日本小児アレルギー学会理事などを務める勝沼俊雄氏は、「プラズマクラスター技術は、薬でも医療機器でもないが、その技術が軽症と中症のぜんそく児の気道炎症を抑え、呼吸機能を改善する可能性を示したことは、ぜんそく児の長期にケアする上でとても意味のある」とし、「ぜんそくの子供と、その家族に福音をもたらすデータであることを願っている」とした。

 シャープの冨田氏は、「これまでにも、ぜんそくの主要抗原のひとつであるダニアレルゲンに対して、プラズマクラスターイオンによるダニの死がい、ふんに含まれる浮遊ダニアレルゲンの抑制効果を実証してきたが、この臨床研究で小児アトピー型ぜんそくの気道炎症レベルが低減し、プラズマクラスター技術が実際の生活環境で、健康に対して貢献することがわかった。今後も、健康的な環境を創出するためにプラズマクラスター技術のさらなる進化とその効果の実証を進めていきたい」とする。

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