出張・経費管理クラウドを提供するコンカーは3月12日、日本CFO協会が実施した「領収書の電子化と経費管理に関する調査」に関する調査結果と考察を発表した。e文書法が定める領収書の電子化要件緩和の動きを踏まえた。
「外勤の従業員に対して、スマートデバイス(スマートフォン、タブレット)の業務利用を許可していますか?」という質問に対する回答は図1の通り。88%がすでにスマートデバイスを業務で利用中か利用を検討しており、スマートデバイス活用で積極的なワークスタイル変革を推進している実態が明らかになったと説明している。
図1:外勤従業員に対するスマートデバイスの業務利用許可回答結果(コンカー提供)
領収書の電子化の導入の意向、領収書の電子化に必要なデバイスに関する認識を質問した結果は図2の通り。領収書の電子化導入を検討する回答者の約80%がデジタルカメラやスマートフォンを活用した経費精算を希望している。
図2:領収書電子化導入意向と領収書電子化に必要なデバイス回答結果(コンカー提供)
だが、今回の規制緩和案で検討されている電子化要件では「3万円未満の領収書のみ電子化可能」と「電子化した領収書の画像ファイルに電子署名を付与すること」の2つの要件が緩和されたのみ。電子化のために利用してよい機器は依然として「スキャナ(オフィスのコピー機など)のみ」となっている。
つまり、従業員は引き続きオフィスに戻って領収書をスキャンする必要がある。企業の要望に応えるためには、規制緩和案施行ではスマートデバイスを用いた電子化も認可されることが望まれるとしている。
「領収書の電子化が可能な要件について、規制緩和後にスマートフォンの利用が解禁された場合と解禁されない場合、導入を推進しますか?」という質問に対する回答は図3の通り。経費精算業務でのスマートフォンの利用解禁で領収書の電子化を推進する企業の大幅な増加が期待されるという。特にスマートフォンの利用が解禁されない場合、22%の企業が「将来的にも領収書の電子化を導入しない」と回答しており、企業のスマートフォン解禁への強い要望が見えるとしている。
図3:領収書電子化可能要件規制緩和による導入推進意向回答結果(コンカー提供)
外勤時間(営業活動等の外出、顧客先・店舗などのオフィス外勤務)が全労働時間の半分以上を占める従業員は約25%。87%が外勤からの直行直帰の勤務形態が認められていると回答。外勤の従業員の82%がスマートフォンの業務利用が認められていると回答している。
企業の95%は現行法制で定められた領収書の原本保管義務(7年間)の廃止に関心があると回答。領収書の電子化がもたらす従業員への影響(複数回答)として(1)65%が領収書保管のためのコスト削減が見込める、(2)56%が従業員の経費申請作業が楽になる、(3)43%が領収書紛失の懸念が低くなる、(4)37%が経理部門での突合作業が効率化できる、(5)35%が領収書の確認、管理にかかる人件費の削減が見込まれる――と見ている。
72%が領収書の電子化と電子保管を導入する場合、経費精算システムはパッケージ製品、またはクラウドサービスを利用すると回答。経理部門の79%が経費申請内容と紙の領収書の突合作業にかかる人件費、作業費に問題を感じているとしている。紙の領収書の保管コスト(輸送費、倉庫代)について80%が問題意識を感じていることも明らかになっている。
調査はオンライン上でのアンケート調査で、日本CFO協会会員メンバーをはじめとする日本全国の財務幹部705サンプルを対象とし、2014年12月15日~2015年1月26日に実施された。回答者の企業規模は従業員数1000人以上が57%、業種は製造業38%、情報・サービス25%、商社・卸・小売15%、建設・不動産6%などとなっている。