日本マイクロソフトのMicrosoft SQL Serverチームが事業戦略の1つに掲げているのが“ビッグデータの民主化”だ。ビジネスパーソンが使い慣れたExcelにビジネスインテリジェンス(BI)機能を搭載し、ExcelをBIのフロ ントツールにすることで、ビッグデータを活用する人の裾野を広げていく取り組みを指す。背景には、ビッグデータ流通量の拡大が、ひいては同社のクラウドサービス「Microsoft Azure」を核としたプラットフォームビジネスの収益増加につながるという打算がある。
“ビッグデータの民主化”の次のステップとして、同社は4月24日、これまでExcelの法人向け製品に搭載していたBI機能「Microsoft Power BI」を、Excelとは独立したウェブサービスとして無償提供すると発表した。ウェブサイトに登録すると、Power BIのパブリックプレビュー版がExcelライセンスの有無に関わらず、誰でも利用できる。
Power BIでは主要なSaaSからデータを取り込むコネクタを実装
無償版Power BIの機能は、グラフ表現などの一部を除き、Excelに搭載されていたPower BIとほぼ同等であり、操作感もExcelに近い。SQL ServerやAccessといったMicrosoftのデータベース製品や、OracleやIBMなど他社データベースからデータを収集してグラフ化する。SalesforceやGoogle AnalyticsなどSaaSからのデータ収集も可能。HTML 5対応のブラウザであれば種類を問わず利用可能であり、iOSアプリやWindowsアプリも提供する。
「ビッグデータ分析の裾野が広がれば、ビッグデータを流通させるためのサプライチェーンが必要になる。当社は、ビッグデータのサプライチェーンをAzureのサービスとして提供していく」(サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドアプリケーションビジネス部 部長の斎藤泰行氏)
R言語買収の狙いとは
日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウドアプリケー ションビジネス部 部長の斎藤泰行氏
斎藤氏は、同社のビッグデータ分野への取り組みの次の展開について、「ビッグデータの民主化を引き続き推進すると同時に、より高度な分析基盤を提供してデータ活用レベルの引き上げを図っていく」と説明した。
直近のMicrosoftによるデータ分析関連企業の買収は、(1)ビッグデータの民主化、(2)データ活用レベルの向上――の2軸に分類されると斎藤氏は言う。4月に発表したモバイルBIツールのDatazen Softwareの買収の狙いは(1)であり、クロスプラットフォームによるビッグデータ活用人口の拡大が目的だ。また、1月に発表した統計解析言語「R」ベースの製品やサービスを手掛けるRevolution Analytics買収は(2)にあたる。
日本マイクロソフトのビッグデータ戦略(資料提供:日本マイクロソフト)