Microsoftは、「Windows 10」をあらゆる種類のデバイスに搭載する計画だという。数にすると10億台、それも近い将来の話だ。
MicrosoftのOS担当バイスプレジデントのTerry Myerson氏は、米国時間4月29日にサンフランシスコで開催された、同社の開発者向け年次カンファレンス「Build」の基調講演で、「Windows 10のリリースから2~3年のうちに、 10億台のデバイスでWindows 10が稼働しているだろう」と語った。
現在のところ、そのタイムテーブルのスタート地点は「2015年夏」とされている。これはMicrosoftが3月に明らかにした大まかな目標だ。ただし、Microsoftの長年のパートナー企業である、チップメーカーAdvanced Micro Devices(AMD)の最高経営責任者(CEO)は4月、リリース日は7月後半になると述べている。29日のBuildでは、Microsoftの幹部らはこの点について話さなかった。
- Build関連記事など
- MS、新クラウドサービス「Azure SQL Data Warehouse」などを発表
- MS、Android/iOS用アプリの「Windows 10」移植を促すツールを発表
- 「Windows 10」搭載デバイス、今後2~3年で10億台に--マイクロソフトが予測
- 「Windows 10」、プレビュー版「Build 10074」が公開
- マイクロソフト、「HoloLens」のデモをBuild 2015で披露
- MS、「Outlook」向け「Uber」拡張機能を披露--開発者の呼び込みを狙う
- MS、「Continuum」のデモを披露--あらゆるスマホをPC化する「Windows 10」向けツール
- MS幹部、「Windows 10」無料アップデート期間終了後の料金は「分からない」
- MS、「Raspberry Pi 2」向け「Windows 10 IoT Core」プレビューを提供--「Arduino認定」Windows 10で提携も
- マイクロソフトの新ブラウザ、正式名称は「Edge」
- MS、「Edge」ブラウザで非対応の技術を明らかに--「ActiveX」「VBScript」など
- 「Office 2016」、パブリックプレビューを一般向けに公開--「Windows」デスクトップ版
Windows 10は、Microsoftの最も差し迫った問題のいくつかを解決する可能性がある。先頃、Microsoftが四半期決算を発表し、利益がアナリスト予想を上回ったと述べた後、CEOのSatya Nadella氏は投資家に向けて、Windows 10は「さまざまなデバイスにまたがるサービスになり、デバイスの可動性ではなく、エクスペリエンスの可動性が最優先される新しい時代の到来を告げるだろう」と語った。
つまりMicrosoftは、Windows 10が、同社のあらゆるデバイス上で同社のあらゆるアプリを稼働させられる唯一のプラットフォームになることを、開発者と消費者に向けて約束していることになる。開発者はアプリを単一のコードで開発することになり、それによって、いわゆるユニバーサルアプリを生み出すことができる。ユニバーサルアプリは、Windows 10を搭載している限り、スマートフォン、タブレット、PC、ゲーム機の「Xbox One」、テレビ、ATM、さらには新しい仮想現実ヘッドセット「HoloLens」まで、どのようなデバイス上でも動く。
Windows 10は、あまり評判の良くなかった「Windows 8」の失敗を償うための試みでもある。
ユニバーサルアプリという目標を達成するためのツールの1つが、「Continuum」というソフトウェアだ。これは、Windows 10がユーザーの利用しているデバイスの種類を検出し、それに適応できるようにする。MicrosoftのOSグループ担当コーポレートバイスプレジデントを務めるJoe Belfiore氏は29日、Buildカンファレンスでのイベントで、「スマートフォン向けのContinuumを使えば、あらゆるスマートフォンをPC化できると確信している」と述べた。
同社はBuildで、Windows 10のアプリを実行するHoloLensも披露し、ユーザーが自宅のどの部屋を行き来しようと、その時の居場所で使用できるホログラフィック版「Skype」などの可能性を示した。
一方、Myerson氏は、開発者が「Android」アプリや「iOS」アプリを簡単にWindows搭載デバイスに移植できるように、Microsoftがいかに取り組んでいるかについて話した。GoogleのAndroidとAppleのiOSは、サムスンの「Galaxy S」シリーズや「iPhone」など、特に人気の高いスマートフォンの多くに搭載されており、アプリが幅広く使用されるという巨大なエコシステムを抱えている。これまでのところ、Microsoft自体のスマートフォンプラットフォームに対する開発者の関心は、AndroidやiOSに比べてはるかに低い。
Windows 10の重要な機能はほかにもある。全く新しいウェブブラウザだ。Microsoftが29日の基調講演で明かしたところによると、これまで「Project Spartan」という開発コード名で知られていたブラウザは、今後「Microsoft Edge」という正式名称で呼ばれるという。EdgeはMicrosoftの由緒ある「Internet Explorer」を完全に置き換えるものではなく、「Google Chrome」やMozillaの「Firefox」と同種の柔軟性に優れた代替ブラウザだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。