西アフリカレポート

カゴメと三井物産、外務省、JICA--セネガルと日本の最新動向

山田一雅

2015-05-24 09:15

 皆様こんにちは。西アフリカのセネガル共和国在住、山田一雅です。連載3回目の本日は、日本と関連するセネガルの最近の動向を紹介いたします。

カゴメと三井物産の西アフリカ2億8000万人の市場を見据えた動き

スーパーの入り口上部の看板。ここにカゴメの看板が出る日も近い?
スーパーの入り口上部の看板。ここにカゴメの看板が出る日も近い?

 連載1回目で、セネガルは西アフリカの主要国であり、かつ西アフリカの拠点としても適していると紹介しました。まさにそのような動きのニュースです。

 カゴメと三井物産が、西アフリカ2億8000万人の市場を狙い、セネガルに拠点を構えるよう準備を進めているようです。西アフリカのみならず、アフリカ進出の第1国目としてセネガルを選んだ背景には、西アフリカでのトマトペーストの需要の高さと、自給率の低さが挙げられています。

 先日、同じ西アフリカのコートジボワールという国にいました。コートジボワールでもトマトの需要は豊富。トマトソースやトマトスープの煮込みなど、人々はトマトを使ったさまざまな料理を楽しんでいます。

 カゴメの狙う西アフリカの市場の可能性について、身を持って実感しているところです。余談ですが、先日シャンプーなどで有名なL'Oréalがコートジボワールでの生産開始を発表しました。

宇都隆史外務大臣政務官のセネガル訪問

バス乗車中に撮影したCFPT
バス乗車中に撮影したセネガル日本職業訓練センター(CFPT)

 外務省ウェブページによると「西アフリカの主要国の1つであるセネガルとの二国間関係及び安保理改革を始めとした国際場裡における協力関係を強化するため」、宇都隆史外務大臣政務官は、3月6日にセネガルを訪問し、要人と会談しました。

 また、セネガル人の間では「Ecole Japonais(日本の学校)」と呼ばれている「セネガル日本職業訓練センター(CFPT)」を視察しました。今年でこの学校は創立30周年。西アフリカの人材育成において大きな役割を担っています。

 こうした活動により、将来富裕層になり得る層が日本人への感謝の気持ちや日本の技術への理解を深めつつ、ITをはじめとしたさまざまな業界で活躍しているようです。これ以外にもセネガルの教育分野に関わりの深い日本。こうした地盤は、日本企業のビジネスにとってプラスに働くはずです。

セネガルへのJICAボランティア派遣35周年記念イベント開催

 2月10日、首都ダカールで、セネガルJICAボランティア派遣35周年記念イベントが開催されました。記念式典には、日本から青年海外協力隊事務局長も訪れ、またJICAセネガル事務所長、隊員OB、セネガル政府高官や日本大使などの皆様によるスピーチ、そして新隊員の紹介などが行われました。

 1月に北原在セネガル日本国大使より伺った話によりますと、現在セネガルは、青年海外協力隊員数が世界最多の国であるとのこと。派遣の歴史が長く、人数も多いセネガルJICA。私も街を歩いていると「あなたはJICAか?」と声をかけられるほど、一般に広く知られています。

 会場にはボランティアの活動紹介や日本文化の紹介ブースが設けられ、来場した多くのセネガル人が興味深く展示を眺めていました。また、日本食の試食コーナーが設けられ、親子丼やみたらし団子などにセネガル人が殺到していました。なお親子丼はセネガル人味が薄すぎたようで、「もっと塩が欲しい」と言っているセネガル人も多く見かけました。

会場付近には、日本とセネガルの国旗が
交互に掲げられていた。
会場付近には、日本とセネガルの国旗が交互に掲げられていた。

5月からセネガルの観光ビザが不要に

 日本のメディアは報じていませんが、4月3日、セネガルの大統領が「観光ビザの撤廃」を発表し、5月1日に開始しました。これは、エボラ出血熱の影響により打撃を受けている現状の観光部門の復活に向けた施策であるとのことです。なお日本でも多くの報道がなされて久しいですが、セネガルでは2014年10月17日にエボラ出血熱の終息宣言がなされて以来、その後一人の患者も出ていません。一方でギニア、リベリア、シエラレオネでは依然として予断を許さない状況。一刻も早い終息を願っています。もともと2013年6月以前は観光ビザが不要でしたので、運用上は大きな問題は起きないと思われます。

 今回の決定により、いままで必要だったウェブでのビザ申請およびビザ取得費用(52.5ユーロ)が不要になる事から、ぐっとセネガルへのアクセスが楽になります。ウェブ上でも「TripAdvisor」などの旅行者向けサイトで話題になっていました。エボラ前まで、欧米人(特にフランス人)から人気のリゾート地だったセネガルに、観光客の足が戻る一つのきっかけになるかも知れません。

 (※補足)日本の外務省の海外安全ホームページでも、セネガルは最も安全を示す「白」の評価となっています。これは、ヨーロッパや日本と同水準の治安という評価です。

山田一雅
セネガル在住。日本企業のアフリカビジネスの支援(営業代行、展示会出展代行、市場調査等)や個人向けにアフリカでのホームステイ先の紹介などを手掛ける。趣味は野球。千葉県出身。

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