前CEOのSteve Ballmer氏とは異なり、Nadella氏は、Microsoftをデバイスとサービスの会社として位置づけようとしてはいない。Nadella氏の下で、Microsoftは原点に立ち返り、ソフトウェアとサービスという同社の強みに再び力を入れるようになっている。そしてWindowsやWindows搭載製品だけでなく、「iOS」や「Android」「Linux」などのためのソフトウェアやサービスもそこに含まれる。
一方で、Microsoftが独自のハードウェアを作り続ける理由の最たる例であるのが、「Microsoft Band」だ。同製品はWindows 10製品を(まだ)搭載しない(ファームウェアを搭載する)ファーストパーティーハードウェアとなるフィットネスバンドだ。
Microsoft Bandを動かしているコアサービスである「Microsoft Health」は、数多くの「Microsoft Azure」サービスを基盤として構築されている。使われているAzureサービスは、「Azure DocumentDB」(同社のNoSQLサービス)、「Azure HDInsight」(Azure上のHadoop)、「Azure Service Bus」「Azure Data Factory」「Event Hubs」(Microsoftのテレメトリ取り込みおよび処理サービス)、「Azure Stream Analytics」(リアルタイムストリーム処理)、「Azure Machine Learning」だ。
Microsoftにとって価値があるのは、ユーザーがMicrosoft Bandに払う200ドルだろうか。それとも、同社がMicrosoft Bandを動かしているサービスから得ることになる継続的な売り上げだろうか。筆者は後者だと思う。
もちろん、どのような組織再編でも、政治的な力もやはり働いている。Nadella氏の組織再編についてのメモによれば、Microsoftのデバイス事業を統括していたStephen Elop氏は、同社を当日付けで「退職」したという。また、Elop氏の補佐役として同氏の下で働いていた、携帯電話事業担当コーポレートバイスプレジデントのJo Harlow氏もMicrosoftを離れると、The Vergeが報じている。
2013年にElop氏が、CEOを勤めていたNokiaからMicrosoftに復帰したことは、議論の的となった。MicrosoftはNokiaの携帯電話およびサービス事業を買収したとはいえ、一部の人は、Elop氏が戻り、買収した事業だけでなく、Xbox事業も統括することに不安を感じていた(特に、Elop氏はXboxと「Bing」の売却に前向きだといううわさが伝えられたことから)。そうした議論があったにもかかわらず、Elop氏は、Steve Ballmer氏の退任によって空席になったCEOの候補に挙がっていた。
Microsoftは最近では、自社の将来を、クロスプラットフォームソフトウェアとクラウドサービスに賭けている。Windowsとデバイスは今でも同社にとって非常に重要ではあるが、将来的には、Microsoftの全体を構成する小さな存在となる可能性が高い。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。