AMD、「Windows 10」にマイクロソフトの「原点回帰」を期待

Adrian Kingsley-Hughes (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2015-06-08 10:55

 「Windows 8」の影響で底なしの売り上げ低迷という苦難を強いられてきたPCメーカーや部品メーカー各社は、リリースが目前に迫った「Windows 10」が売り上げを回復させる起爆剤になることを期待している。そして、Windows 10に他の誰よりも大きな期待をかけているのが、チップメーカーのAdvanced Micro Devices(AMD)だ。

 AMDのモビリティソリューション担当シニアディレクターであるKevin Lensing氏は、テクノロジ系ニュースサイトであるArs Technicaの取材に対し、次のように述べている。「(MicrosoftはWindows 10で)PC中心という原点に回帰する。(中略)Windows 8では、MicrosoftはPC中心という従来の方向性から脱線し、Windowsストアというアプリ中心に展開される環境への移行を試みたが、(中略)その過程で6300万人いるメインストリームのPCユーザーを置き去りにした。なぜなら、それらのユーザーはPCを生産的な作業に使いたいのであって、(中略)Windowsストアを眺めて過ごすためにPCを買うわけではないからだ」

 AMDがこのように自信を見せる一方で、楽観的な見方を共有しない企業も多い。IDCはPC出荷数が前年比で6.2%減少すると予想している。また、「Windows 7」とWindows 8の既存ユーザーにWindows 10のアップグレードを無料で提供するというMicrosoftの決断は、ユーザーのアップグレード意欲をそれほど高めることにならず、無料アップグレードの期限である2016年までPCの買い換えを控える動きが出る可能性もある。

 なお、AMDのLensing氏はIntelの低価格帯における戦略も手厳しく批判している。「IntelはAndroid端末をはじめとする低価格帯の製品と競争を始めたことで、それまで極めて堅調だった400~500ドル前後のノートPCの市場を自ら破壊しようとしている」「IntelがノートPCの価格下落から得るものは何もない」とLensing氏は述べている。

 AMDはWindows 10のリリースに向けて、ハイエンド向けの「A10-7870K」を含む新プロセッサの準備を完了済みだ。同社の最大の競合であるIntelもプロセッサ製品のアップデートに余念はなく、「Iris Pro Graphics」を統合した第5世代のCoreプロセッサを先日発表した。

 既存のPCユーザーは、限りある資金を必ずしもPCの買い換えに充てるとは限らない。果たしてユーザーがWindows 10のリリースを契機にPCを買い換えるのか、手元のPCでさらに数年我慢して、その資金をスマートフォンやApple Watchの購入に回すのか、今後の動向を見守る必要があるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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