あなたが今まで「ディープウェブ」について聞いたことがないないなら、これからも遭遇しない可能性が高い。しかし、ディープウェブの規模と人気は高まりつつある。正当な使い道と不正な使い道の両面からである。
セキュリティ企業であるTrend Microの新しい報告書は、「ディープウェブ」の現状について調べている。ディープウェブとは、インターネットのうち、検索エンジンによってインデックス化されていなかったり、普通に検索しても閲覧したりアクセスしたりできない部分のことだ。それには、「Tor Browser」のような、通信を匿名化できる特定のツールやサービスを経由した場合にしかアクセスできない「ダークウェブ」も含まれる。
ディープウェブあるいはダークウェブは、Ross Ulbricht氏の裁判を受けて、ここ数カ月で大きな関心と注目にさらされてきた。Ulbricht氏は、ダークウェブで最大かつ最も人気のある闇市場サイト「Silk Road」を運営していたとして起訴され、有罪判決を受けている。しかし、その実態と仕組みは、多くの人にとっては謎のままだ。それはおそらく、普通の人がそこに足を踏み入れる必要はないからだろう。
確かに、この報告書の大部分は、危機感を煽るようなお決まりの内容で、ディープウェブを使ったり、そこにアクセスしたりする人のほとんどは、不正目的で行っているのだと示唆している。しかし、興味深い内容もいくつかある。
この報告書の注目すべき点をいくつか挙げる。
1.ディープウェブは巨大で、誰もその全体像を見ることはできない。ダークウェブの一部はかなり隠されているという性質があるため、どんなときでもディープウェブのページがいくつあるのかを厳密に判断したり、その全容を把握したりすることが不可能である。報告書は、「ディープウェブの奥深くまで十分に調査したと、確信を持って言える人はいない」としている。ディープウェブは同時に、新しいサービスや市場の入れ替わりに応じて、様態が急速に変化する。