調査会社Technology Business Research(TBR)が発表した最新の報告書によると、 経営陣は導入するクラウドサービスの選定において、意思決定への関与の度合いを深めているが、クラウドの利点と課題を経営陣に正しく理解させ、クラウド導入が大惨事に終わるのを防ぐうえでは、将来を見据えた「ビジョン」を持つ開発者の果たす役割が非常に重要になるという。
企業の技術的なインフラストラクチャの中でクラウドが不可欠の要素となる中、開発者は単なる「プログラマー」という従来の枠を大きく超え、経営陣に適切な助言を与える「コンサルタント」としての役割を果たすことが求められている。
Amazon Web Services、Microsoft Azure、IBM SoftLayerなどのクラウドサービスを導入すれば、オンプレミスシステムの運用に伴う苦痛の大半を解消できるが、正しいサービスを選択し、それを適切に設定し、管理し、活用するには、技術的な深い洞察力が要求される。
経営陣がクラウドの導入について関与を強めてはいるものの、開発者なしでは、稼働にこぎつけられないということだ。結果的に、開発者はより多くの役割を果たすことになる。「ビジョンのある開発者は、大企業ではプロダクト開発グループの一員として、小規模な企業では幹部の1人として活躍することが考えられる」と、レポートには書かれている。「アプリケーションを開発するレベルであっても、幹部のレベルであっても、ビジョンをもった開発者はインフルエンサーとしての役割を果たす」(同レポート)
こうした新しい構成のチームでは、適正なバランスを心がける必要がある。たとえば、単一ベンダーへの依存性が高まりシステム選定の柔軟性を失う「ベンダーロックイン」は、システム導入が経営陣主導で進められた場合に陥りがちな罠の1つだが、企業のさまざまな階層に存在する開発者は、クラウドに関する豊富な知識に裏付けされたビジョンを持つアドバイザーとして、経営陣の適切な意思決定を支援することができる。
TBRのシニアアナリストであるJillian Mirandi氏によると、今後2年間で企業におけるクラウドサービスの導入は、開発者主導で進められた時代から、経営陣や業務部門マネージャー、IT部門マネージャーが開発者と共に総合的に意思決定を行う時代へとシフトしていくという。そうした趨勢の中、「クラウドプラットフォームベンダーは、最高の技術を求める開発者だけでなく、ポータビリティを重視する経営幹部、セキュリティを重視するIT意思決定者と会話しなければならなくなる」(Mirandi氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。