PaaS基盤ソフト「OpenShift Enterprise」新版--Dockerコンテナなどを統合

大河原克行 2015年07月22日 18時30分

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 レッドハットは7月22日、PaaS基盤ソフトウェアの新版「OpenShift Enterprise 3」の国内販売を開始した。税別価格は最小構成単位(2コア)で、1年間のサブスクリプションで63万9600円から。6月に米ボストンで開催されたイベント「Red Hat Summit 2015」で発表された

 OpenShift Enterprise 3は、「Docker」形式のLinuxコンテナ、Googleが中心となって開発を進める、コンテナを管理するためのツール「Kubernetes」、そして企業向けLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux 7」を統合。複数の開発言語を利用しながら、コンテナアプリケーションのための開発基盤から本番環境の基盤までを完全にサポートするという。

 ミドルウェア事業部長の岡下浩明氏は、「OpenShiftはPaaSとして捉えられているが、OpenShift Enterprise 3は、PaaSに位置付けるだけではもったいない製品。PaaSの領域を超え、Dockerアプリケーションのためのシステム基盤に変貌したといえる」と説明した。

岡下浩明氏
レッドハット ミドルウェア事業部長 岡下浩明氏

 岡下氏はまた「Dockerは約2年前に登場し、大変魅力的なものという認識が広がっているものの、企業システムの構築に活用するには、まだ早いという意識も強い。企業システムでの使い方、開発の仕方がよくわからないという声もある。そうした課題に対して、完全にサポートできるのがOpenShift Enterprise 3。Dockerを検討しているすべてのユーザー企業を対象にしたい。Dockerを学ばなくても、Dockerを使える、Dockerのためのシステム基盤になる」とメリットを解説した。

 OpenShift Enterprise 3は、コンテナベースのアプリケーション上にウェブコンソールやコマンドラインツール、統合開発環境(IDE)インターフェースなど開発者がアプリケーションプロジェクトの作成と協業を行うための広範なツールを備え、アプリケーションサービスの開発、デプロイ、実行のための環境をセキュアに実現できると説明。開発者はアプリケーションコードをGitから直接プッシュし、Source to Imageビルド機能を使用し、Dockerイメージのビルドプロセスを自動化できるという。

 「57種類のDockerプロジェクトテンプレートを同梱しており、開発者はDockerに関する細かい設定は不要になる。これだけのテンプレートがあればほぼ対応できるが、企業の幅広い利用に対応するために新たなテンプレートをさらに増やしていく予定である。ネイティブDockerの取り込みや実行も可能であり、IDEとの連携、コマンドラインツールを提供することで高度な知識が不要としながら、Dockerを活用できる」(岡下氏)

 開発からテスト、本番への切り替えを自動化し、無停止で切り替えができること、コンテナネットワークの自動設定できるほか、障害時の自動復旧や異なるデータセンター間でのレプリケーション、ハイブリッドクラウド管理フレームワーク「Red Hat CloudForms」を通じて稼働状況を監視するなど、Dockerアプリケーションを安全に運用できることも強調した。

 「スケールアウト機能やパラメータによるオートスケール機能は、年内にも投入する予定のOpenShift Enterprise 3.1で追加することになる」(岡下氏)

 OpenShift Enterprise 3は、アプリケーションサーバ「Red Hat JBoss Enterprise Application Platform」によるアプリケシーョンコンテナサービス、ウェブサーバ「Red Hat JBoss Web Server(Tomcat)」、「Red Hat JBoss A-MQ」によるメッセージングサービスを含む「Red Hat JBoss Middleware」ボートフォリオのエンタープライズミドルウェアサービスも含まれる。

 世界最大とされる旅行チケット予約サービスを提供するAmadeusでは、5000以上のサービスをOpenShift Enterprise 3で稼働させた事例があるという。

大企業やクラウドプロバイダーに提案

 レッドハットは、日本国内での戦略として、「企業におけるDocker採用の促進」「パッケージソフトウェアのクラウド化への手段としてDockerの利用促進」「データセンターの新しいビジネス基盤としての提案支援」の3つの観点から取り組む考えを示し、無償ハンズオンマテリアルの配布、有償トレーニングやコンサルティングサービスメニューを拡充。セルフサービスの充実やカスタマイズ開発環境の提供などによる技術サポートの強化などを図る。

 岡下氏は「開発環境を統一したい大手企業などを中心に提案する一方、クラウドサービスプロバイダーなどをターゲットにしたい。この分野でのナンバーワンを狙っていく」と意気込みを語った。

 同社では、OpenShiftのコミュニティー「OpenShift Commons」に参加する組織が100社以上となり、日本からは、オージス総研、クオリカ、シスコシステムズ、新日鉄住金ソリューションズ、デル、ビッグローブ、富士通の7社が参加していることも発表した。

 OpenShift EnterpriseがDockerコンテナに対応したことを受けて、クオリカが提供する加工組立型製造業向けクラウド対応生産管理システム「AToMsQube(アトムズキューブ)」で同製品の各種機能やサブシステムをDockerコンテナに対応させ、より汎用的なシスム環境でも動作できるようにしたことも発表した。また、モバイル向けPaaSを提供する「Red Hat Mobile」を国内市場向けに年内にも提供することも明らかにした。

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