運用部門主導のDevOps
運用部門主導のDevOpsという形態は、インフラ担当チームが開発ツールを用いてインフラを管理するというものだ。従来型の運用部門は開発スキルを身に付け、「Puppet」や「Chef」「Ansible」といった自動化ツールや構成管理ツールを採用することになる。ユースケースの例としてはネットワークの構成管理やサーバ構築の自動化などがある。
これはインフラを手作業で構成していくのに比べれば大きな進歩と言えるが、Netflixが活用している開発部門主導のDevOpsとは大きくかけ離れている。運用部門は開発部門の考え方を身につけることで、開発におけるものの考え方をより良く理解できるようになる。しかし、そのゴールはアイデアとその実現の垣根を取り払うというものだ。運用部門主導のDevOpsではたいていの場合、開発部門とインフラの垣根を取り払えないのだ。
プラットフォーム2.5環境
ITリーダーがDevOpsに目を向ける理由は、アジリティの向上にある。そんななか、プラットフォーム2.5型の環境というアプローチが勢いを付けてきている。テクノロジという観点から見た場合、これはデータセンターのインフラ部分をセグメント化し、開発部門主導のDevOpsを可能にするというものだ。そして現実的な観点から見た場合、開発部門に「Docker」コンテナベースのインフラを提供するという簡単な話になるだろう。つまり、開発部門はDockerのAPIを用いてアプリケーションの開発と管理を行うことになるわけだ。このようにして開発部門は、インフラのサブセットを統制するプラットフォーム3.0アプリケーションを開発できるようになる。またインフラ担当チームは、土台となるインフラを統制することになる。
プラットフォーム2.5環境における課題には、土台となるインフラの能力管理とパフォーマンス監視、トラブルシューティングが含まれている。しかしプラス面に目を向けると、これは新しい運用モデルを実験するための安全な環境だと言える。企業が運用という問題の解決に向けて模索していくなかで、組織間の境界は曖昧になっていく。このためプラットフォーム2.5環境は、開発部門に焦点を当てた、開発部門が推進するインフラを望んでいる人々にとって、既存の運用に混乱を与えずに前に進む方法だと言えるだろう。
まとめ
筆者は、非テクノロジ系の大企業がすべての運用を、開発部門が推進するインフラに移行したという話をまだ耳にしたことがない。また、そうした運用形態自体が正しいものであるかどうか、いまだに疑問を感じている。Netflixは、大規模なインフラを開発部門主導のDevOpsで管理できると証明して見せたが、筆者はこの形態を維持していけるだけの十分な人材が業界にいるかどうかという点に疑問を感じている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。