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ビジネスに付加価値を提供--DevOpsから考えるITサービス管理の勘所(後編)

最上千佳子 (日本クイント)

2014-11-14 06:30

 「DevOps」というキーワードはここ数年、開発者の話題に挙がる言葉ですが、実は、その根底にある考え方は20年以上前からIT業界で広まっている「ITサービスマネジメント(ITSM)」や「ITIL」に通じるものです。

 しかし、ITILは運用の話であると誤解されているため、開発者やプロジェクトマネージャーは深くは興味を持たないことが多いのが現状です。

 実はDevOpsとITILは、目指しているものは同じです。

 DevOpsに興味を持つ開発者であれば、ITILを知っておくことがDevOpsの本質理解に有用です。逆に言えば、ITILを採用している企業は、DevOpsの本質を誤解せずに理解し、活用できると期待できます(今回は後編)。

人材育成

 特徴3でも述べた通り、ITILを組織のエンジニアの人材育成に活かし、将来を担うリーダーやマネージャーとして育成している企業は少なくありません。そのような企業では、ITILの資格体系をキャリアアップのためのマイルストーンとして活用し、コンピテンシーマトリックスなどを構成する一要素として組み込んでいるケースがあります。

今後のITサービス&人材のポートフォリオを考えて
 情報システム部門、情報システム子会社、IT企業など企業の内外を問わず、IT関連の組織は「技術者集団」から「ITサービスプロバイダー」へと変革することが求められて来ました。技術だけを追求するのではなく、ビジネスに役立てるためにどうすればよいかという観点でITを捉え、サービスとして提供できることが求められています。従って、ITサービスのポートフォリオを作成し、サービスとしての目標値をサービスレベル合意書(SLA)で顧客と合意をすることが多くの企業で実施されるようになってきました。

 これを効果的に実現するためには、組織の構成員である技術者(エンジニア)の仕事に対する考え方のパラダイムシフトが必要です。

 例えば以下は、ある企業の情報システム部門長が、外部サービスプロバイダー(運用のアウトソーシング先)に対して日々感じている不満と期待です。

「システム開発やアプリケーションの改修をする際に、他のシステムとのインターフェースを技術的には検討できても、ITサービスという観点から検討できるエンジニアやプログラマはほとんどいない。本当であればSLAも意識した設計が必要で、運用チームと連携してもらわなければ意味がない。利用者は運用しているサービスを使用しているのだから」

「毎月SLAの結果報告を受けるのだが、発生したインシデント件数や対応時間を報告されても、全く自分にとってはどうでもいいことだ。それらを管理するところまで含めてお願いしているのだ、ということを理解できないようだ。運用チームが運用業務を実施するのは当たり前で、さらに私たちのビジネス発展のために何が必要なのかの意見がほしい。現行の運用の改善やアプリケーションの修正や新しいITサービスの開発など、運用と開発の垣根を越えて、私たち側の目線で一緒に寄り添って考えてくれてこそ“パートナー”として信頼できる」

 この考え方を理解でき、率先して行動することができる人材が求められています。それを考え方として言い換えると、次のようになります。

  • ITをサービスとして捉える【サービス指向】
  • 常に顧客のビジネスを意識して考え、行動する【顧客指向】
  • 作業ではなく、マネジメントを実施し、顧客への提供価値を高める【マネジメント】

 このような市場ニーズに応えるものがITSMであり、そのベストプラクティスをまとめたフレームワークがITILと言えます。ITILを学び、知識と理解を証明するためには、該当する認定教育コースの受講と資格取得が非常に有用です。実際に、この資格体系を活用し、社内のIT人材の価値を高めるためのマイルストーンの一つとしている企業が増えてきています。

資格体系

  • 初級=ファンデーション
  • 中級=インターミディエイト
  • 上級=エキスパート
    ※エキスパート資格までは、認定試験に合格し必要な単位(クレジット)を取得すると、該当する資格を得ることができます。さらにITSMの実績に関する論文提出と対面式のインタビュー試験にクリアすると、さらに上位の「ITILマスター」という資格を得ることが可能です

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