資格者数
ITIL試験を取り扱うEXIN Japanの調査によると9月末時点で、それまでの資格取得者数累計(V2、V3、2011 edition全てを含む)は以下の通りです。
- ファンデーション=13万7500人
- インターミディエイト=4100人(V2のプラクティショナー資格を含む)
- エキスパート=1250人(V3のマネージャー資格を含む)
マイルストーン例
企業のIT戦略、IT系人材のポートフォリオによりマイルストーンの設定方法はさまざまですので、正解はありませんが、例えば以下のように人材育成を体系的に進めている企業があります。
- 入社~3年目=ファンデーションを取得すること
- リーダー/マネージャー=インターミディエイトを少なくとも1つ取得すること
- 中規模以上/複数のITサービスの責任者=インターミディエイトを2つ以上取得し、社内の面接に合格すること(面接はITSMプロフェッショナルにより実施される)
- ITSMプロフェッショナル=エキスパートを取得すること
コンピテンスの考え方(ご参考)
ヨーロッパでは、「コンピテンス」という観点で人材を分析・把握し、育成していく、という考え方があります(European e-Competence Framework 2.0 より)。
“Competences is a demonstrated ability to apply knowledge, skills and attitudes to achieving observable results”
「目に見える結果を達成するにあたり、自分の知識とスキルと振る舞いを適用できることが証明された能力」と訳せます。本質的には、「コンピテンスとは、知識を持ち、スキルがあり、プロフェッショナルな振る舞いで目的を達成してきた経験を示す能力」と言えます。
- 知識=対象の事柄を知っている、親しんでいる(~を知っている)
- スキル=対象の事柄の実施が可能な実力を持っている(~ができる)
- 振る舞い=持っている知識やスキルをプロフェッショナルな姿勢で推進し、生かすことができる
人材育成の目標設定と評価項目として、これらの考え方を多角的・複合的に取り入れることも、一つの方法です。
まとめ
DevOpsという言葉が生まれ反響がある理由は、それがビジネスにとって非常に有用であるからです。開発(Development)と運用(Operation)を組み合わせることが目的であるのではなく、ビジネスに必要なものは何かを常に追求しながら、ビジネスに寄り添い高付加価値を提供し続けるITサービスプロバイダーであり続けること、つまりビジネスのパートナーとなることが目的と言えるでしょう。
DevOpsに興味を持つ開発者のみなさんには、是非この機会にITILにも興味を持たれることをお薦めします。また逆に、ITILを採用している企業は、DevOpsの本質を誤解せずに理解し、活用できるでしょう。
- 最上千佳子(もがみ・ちかこ)
- 日本クイント株式会社代表取締役
- システムエンジニアとしてオープン系システムの提案、設計、構築、運用、利用者教育、社内教育など幅広く経験。顧客へのソリューション提供の中でITサービスマネジメントに目覚め、2008年ITサービスマネジメントやソーシングガバナンスなどの教育とコンサルティングを提供するオランダQuint社(Quint Wellington Redwood)の日本法人 日本クイント株式会社へ入社。ITIL認定講師として受講生・資格取得者を輩出
- 2012年3月、代表取締役に就任し、これまで以上にITとビジネスとの融合に貢献していくことを目指し、講師・コンサルタントとしての活動も続けている
- [主要資格]ITIL Expert認定講師