CA World'14

スピードによる競争優位性を確保--CA幹部が語る「DevOpsを取り入れるべき理由」

鈴木恭子

2014-11-19 18:19

 米CA Technologiesの年次コンファレンス「CA World'14」(米国時間11月9~12日にネバダ州ラスベガスで開催)では、アプリケーションを通じて新たなビジネス領域を創造する「アプリケーションエコノミー」と、それに対応するビジネスモデル変革の必要性が、全セッションを通じて強調された。

 アプリ通じて自社製品やサービスを提供するためには、アプリを短期間で開発、展開できる環境が不可欠となる。今回のコンファレンスでCAは、開発者と運用担当者が緊密に連携し、迅速にソフトウェア(アプリ)をリリースする「DevOps」の重要性を説いた。

 「スピードによる競争優位性を確保したい企業にとって、DevOpsは“コア”となる」と語るのは、CAでシニアバイスプレジデント兼ワールドワイドセールス統括DevOps担当を務めるEric Grotefeld氏だ。CAのDevOps戦略を聞いた。

Eric Grotefeld氏
CAでシニアバイスプレジデント兼ワールドワイドセールス統括DevOps担当を務めるEric Grotefeld氏

開発プロセスにも存在するサイロ

――近年、複数のITベンダーがDevOpsの必要性を主張し、関連製品をリリースしている。CAの差別化ポイントは何か。

 DevOpsは技術ではなくアプローチであり、「人」「プロセス」「技術」の3つが柱になっている。その中でCAは、特に技術にフォーカスをしている。

 CAのDevOpsへのアプローチは、7年前から行われていた。4年前われわれは、Interactive TKO(ITKO)を買収した。ITKOのソリューションは、エンタープライズアジャイル開発を実現するものであり、“Dev(開発)”のプロセスにも存在する“サイロ”を取り払うものだ。

 DevOpsは、開発と運用の間にある作業の“待ち時間”を削減するアプローチだが、開発のフェーズだけを見ても待ち時間やさまざまな制限が存在する。開発のフェーズは「要求→設計→プログラム→配布→テスト」とあるが、コードを書く技術者は、テスト担当者のことを気にかけず、結果的にリリースが遅れるといったケースは多い。

 そうした課題に対して、われわれは継続的デリバリ自動化ソリューションである「CA Release Automation」を提供している。アプリの配布に必要な作業を自動化することで“Dev”サイドのプロセスを迅速に回すことができる。この部分は、われわれの強力な差別化ポイントとなるだろう。

現在のアプリケーションデリバリか抱える課題
現在のアプリケーションデリバリか抱える課題。Dev(開発)サイドでもこれだけの課題がある

――「DevOpsはハードルが高い」と考えている一般企業は多い。そうした企業に対してどのようにアプローチしていくのか。

 日本の製造業が開発プロセスを重視していることは理解している。過去、ドイツでも同じような状況を抱えていた。5年前、ドイツのある自動車会社は、DevOpsにまったく関心を示さなかった。しかし、現在、同社はわれわれの重要な顧客となっている。

 基調講演でCEO(最高経営責任者)のMichael Gregoireは、「すべての企業はソフトウェア企業だ」と語った。今後、「製品におけるソフトウェアの果たす役割」が重要になることは間違いない。ある調査によると、5年後には自動車の価値の40%は、ソフトウェアが占めると予測されている。

 MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボの創設者・名誉会長でもあるNicolas Negroponte氏は、著書『Being Digital』(1995年)の中で、「情報(Bit)と物質(Atom)は一体となる」と記している。つまり、現在は製品(Atom)とソフトウェア(Bit)は別物として存在していることが多いが、今後は両者が融合するとの予測だ。

DevOps導入でもたらされるメリット。アプリの市場投入時間は18%速くなり、スケジュール期間は25~50%の削減、導入効果で売り上げは19%増になったという
DevOps導入でもたらされるメリット。アプリの市場投入時間は18%速くなり、スケジュール期間は25~50%の削減、(導入効果による)売り上げは19%増になったという(CA調査による)

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