米ZDNet編集長Larryの独り言

うわさされるアップルの「iPad Pro」--企業で受け入れられるか

Larry Dignan (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2015-09-08 10:37

 Appleが米国時間9月9日にサンフランシスコで開催するイベントの中心は「iPhone 6s」になるはずだ。しかし、製品の多様化という観点から見れば、「iPad Pro」という名前でうわさされている、大型ディスプレイを搭載した企業向けタブレットの方が重要かもしれない。

 ここでの焦点は、タブレットと同様に小回りがきき、ノートPCの代替となり得る製品としてのiPad Proが企業に受け入れられるかどうかだ。

 2-in-1型の機器が力強く成長しているのは、タブレットがジャンルの隙間を埋めるためだけの製品として捉えられているという理由もある。タブレットの採用によって、企業は新たな購入サイクルを管理する必要が出てくる。企業はPCとタブレットを1つの買い替えサイクルで扱いたくはないのだ。

 この現実こそ、Microsoftの「Surface Pro」が企業の共感を得ている理由だ。2-in-1型のコンバーチブル製品は、コンテンツの制作や仕事に用いるとともに、エンターテインメントやデータ閲覧といった用途でタブレットを使用するユーザーを魅了できるレベルにようやく到達したのだ。

 しかし、iPad Proが企業から爆発的な共感を得られるかどうかは分からない。大型の「iPad」には確かに一定のニーズがあるだろうが、企業での採用が保証されているわけではない。

 Appleの「iOS」はモビリティという点では素晴らしく、現在ではマルチタスクも可能になっているが、仕事での利用や、コンテンツの制作という点で完璧なデバイスとは言えない。クラウドや、Microsoftの「Office」アプリによってiOSの魅力が高まっているとはいえ、そうした作業には「OS X」の方が適しているだろう。

 Microsoftは「Windows 10」で、画面サイズの異なるさまざまな機器を統合しようとしているため、企業の懸念は軽減されるはずだ。AppleもOS XとiOSの統合に向けて進んでいるが、これら2つのプラットフォームは完全に統合されているわけではない。

 iOSにOS Xの機能を統合してほしいという意見や、OS Xを搭載したまったく新たなタブレットを開発してほしいという意見があるが、これらはいずれも重要な点に触れている。それは企業の視点から見た場合、iPad Proが「MacBook」ほど有用な製品とはならないだろうというものだ。要は、iPad ProがMacBookと競合できないかもしれないということだ。

 軽量のMacBookに目を向ければ、12インチディスプレイ搭載版はスタイリッシュであるうえ、軽くて実用的だ。筆者自身は、いまだにiPad Proを真面目に検討するとは言い切れないでいる。アナリストの間では、iPad ProがMacBookの売り上げを侵食するという見方がある。しかし筆者はそうならないと見ている。モビリティという観点で見た場合、MacBookはiPad Proほど軽量ではないかもしれないが、間違いなくより多くの機能を備えた製品となりそうなためだ。

提供:Tech Pro Research
タブレットは組織でどのように使用されているか。
提供:Tech Pro Research

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  4. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

  5. ビジネスアプリケーション

    AI活用の上手い下手がビジネスを左右する!データ&AIが生み出す新しい顧客体験へ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]