日本マイクロソフトは10月2日、品川本社の記者会見を開催し、法人向けモバイルデバイス管理(MDM)分野でアイキューブドシステムズと提携することを発表した。
日本マイクロソフトとアイキューブドシステムズがMDM分野で提携
国内市場で4年連続シェアNo.1(出荷金額実績、テクノ・システム・リサーチ調べ)を誇る「CLOMO MDM」を提供するアイキューブドシステムズ。11月にCLOMO MDMをWindows 10デバイスの管理に対応させるのに加えて、2016年度中にCLOMO MDMのプラットフォーム自体を現行のAmazon Web ServicesからMicrosoft Azureに全面移行する計画だ。日本マイクロソフトとの提携の初年度に10万ライセンス、今後3年間で100万ライセンスの販売を目標とする。
提携はMSにとっても「変革の象徴」
Microsoft International プレジデント Jean-Philippe Courtois氏
会見には、日本を含むMicrosoftの海外拠点を統括するMicrosoft International プレジデント Jean-Philippe Courtois氏が出席。「クラウドサービスの普及により、これまでのビジネスのやり方では通用しなくなる可能性がある。クラウド時代に対応した、パートナーシップの拡大が重要だ」(クルトワ氏)と語った。
アイキューブドシステムズについてクルトワ氏は、「Microsoftの変革を象徴するパートナー。プラットフォームにAWSを使っていたが、これからは当社と手を結ぶことになった」と紹介。業界トップのアイキューブドシステムズとの提携に期待を寄せた。
日本マイクロソフト 代表執行役社長の平野拓也氏
日本マイクロソフト 代表執行役社長の平野拓也氏は、「2015年7月の社長就任後、変革というキーワードを掲げてきた。エコシステム全体での変革を進め、パートナー拡大を推進していく中で、本日の発表は象徴的なものになる」との見方を示した。
提携の狙いについては、「クラウドの一般化とデバイスの劇的な増加が進む中、法人ユーザーはプラットフォームを問わないデバイス管理を求めている。セキュリティやコンプライアンスを一元的に取り扱えるかどうか。今回の提携はここにフォーカスした」(平野氏)と語った。
CLOMO MDMのWindows 10対応については、「いまや法人ユーザーにとって、スマートデバイスは必要不可欠。その中でもセキュリティや管理面に優れたWindows 10デバイスへの期待が高まっている。CLOMO MDMがWindows 10に対応することで、PCやタブレット、スマートフォンといったあらゆるモバイルデバイスを、単一のコンソールから一元管理できるようになる」(平野氏)とメリットを語った。
顧客からの要望の高まりに応じてWindows 10に対応
アイキューブドシステムズ 代表取締役社長の佐々木勉氏
CLOMO MDMでWindows 10デバイスに対応
Windows 10デバイスに対して初年度に10万ライセンス、今後3年間で他OSを含む合計100万台以上の管理プラットフォームを目指す
CLOMO MDMの詳細については、アイキューブドシステムズ 代表取締役社長の佐々木勉氏が説明した。アイキューブドシステムズは福岡を拠点とするベンチャー企業で、2010年のiOS対応を皮切りに、企業のモバイル利用に特化したソリューションを提供してきたという。
日本マイクロソフトと提携した理由については、「お客様からのリクエストが増えてきたことが最大の理由。Windowsには圧倒的なシェアと実績があり、そのWindowsが進化したことで、要望も高まってきた」(佐々木氏)と説明。「法人ユーザーのモバイル利用は、お客様ごとに多彩な要求がある。これまでにもWindows 8.1対応など、選択肢を増やしてきた」(佐々木氏)
提携に至った経緯は、「IoT向けの『Azure IoT Suite』の登場や、Windows 10に搭載された数多くの新機能に背中を押される形になった。Windows 10は今後、カーナビなどを含む幅広いデバイスに搭載されていくはずだ。これは我々のビジョンにも合致する」(佐々木氏)と説明。「これまで取り組みが難しかった部分にサポートを得られたことで、提携に至った」(佐々木氏)
すでにCLOMO MDMはWindows 8.1に対応しているが、新たにWindows 10に対応したものを11月より提供開始する。「Windows 8.1端末では、Active Directoryへの参加とモバイル利用が両立しない面があった。Windows 10ではこの点でも管理機構が向上している」(佐々木氏)という。
2016年春には、Enterprise Mobility Suiteとも連携する。「Azure Active Directory PremiumやAzure Rights Management Premiumを用いて、お客様社内の情報資産や認証基盤をシームレスに活用できるようになる」(佐々木氏)と説明した。
アイキューブドシステムズは、日本マイクロソフト以外の企業とも提携を進める。「インテルとの協業により、vProテクノロジに対応した。VAIOとは法人向け事業の新しい展開を検討している。デルは営業面や資産面で、ワンビはオフラインソリューションについて、それぞれ提携を検討している」(佐々木氏)として、今後のパートナー拡大に期待を寄せた。