キヤノンITソリューションズ(キヤノンITS)は10月6日、ファイアウォール製品を開発しているスウェーデンのClavister(クラビスター)と販売代理店契約を交わしたと発表した。ソフトウェアライセンスやアプライアンス機器、“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”デバイスなどへのソフトウェアの組み込みなど、幅広い形態で提供する。第1弾として中小企業向けの統合脅威管理(UTM)アプライアンス機器「Clavister E80」を11月上旬から販売する。
Clavisterは、x86ベースの汎用PCの上で動作するソフトウェアとして、ファイアウォール機能を開発している。特徴の1つは、プログラムサイズ(フットプリント)が11Mバイトと軽量なこと。Clavisterの最高経営責任者(CEO)のJim Carlsson氏は「IoT市場を重視している。Clavisterのファイアウォールは軽量でどこでも動作するので、今後IoTが広まるに連れて重要性が増す」とメリットを説明した。
Clavister CEO Jim Carlsson氏
ソフトウェアを自社開発したことによるセキュリティの高さも強みだ。「Linuxやオープンソースなどの汎用のコードを一切使わず、すべてのコードをいちからスクラッチで書いた。システムに侵入するためのバックドアは存在せず、政府や政治団体とも一切の関係がない。この15年間、Clavisterのセキュリティが破られたことはない」(Carlsson氏)
キヤノンITSは、日本国内の1次販売代理店としてはブルースターに次ぐ2社めに当たる。キヤノンITSがClavister製品を取り扱う理由は、軽量なソフトウェアを幅広い形態で提供できること。ハードウェアアプライアンスやソフトウェア単体(仮想アプライアンス含む)の販売だけでなく、他社のセキュリティ機器へのソフトウェアのOEM供給やIoTデバイスへの組み込みなど、幅広い展開を考えている。
キヤノンITSが考えているClavister製ファイアウォールの事業展開
弁当箱サイズの中小向けエントリUTM機器を販売
第1弾の製品として、中小企業向けUTMアプライアンス機器のClavister E80を11月上旬に販売する。Clavisterのファイアウォールソフト(ファームウェア)を中核に、他社製のウイルス対策や迷惑メール対策、ウェブフィルタリングなどのセキュリティソフトを載せている。価格はオープンだが、税別参考価格は、UTMライセンス1年付属版が21万円、UTMライセンス5年付属版が42万円。
中核を成すClavisterのファイアウォールソフトは、いわゆる次世代ファイアウォールで、「機能は競合他社と同等」(キヤノンITS)だ。ポート番号だけでなく、実際のアプリケーション通信の中身を見て、使用中のアプリケーションの種類を識別する。外部のActive DirectoryやLDAPサーバと連携し、個々のIPアドレスを使用中のエンドユーザーが誰なのかを識別する。
Clavister E80の主な仕様は以下の通り。同時接続数は25万。ファイアウォール性能は2Gbps。IPsec VPN性能は500Mbps。ウイルス対策機能使用時のHTTP転送性能は483Mbps。侵入検知防御(IDP)使用時のFTP転送性能は490Mbps。ウイルス対策とIDPを同時に使った場合の性能は302Mbps。同時VPNトンネル数はIPsec VPN/SSL VPNともに100。VLAN(IEEE802.1q)は64個。
Clavister E80の外観