北川裕康「データアナリティクスの勘所」

データサイエンティストの決め手はリーダーシップ?--ビジネスに必要な3つのスキルを考える

北川裕康 2015年10月07日 10時30分

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 スキルについて普段考えていることがあり、今回はビジネスに必要なスキルについて書きます。先日の記事でもデータサイエンティストについて記載しましたが、スキルからどのような職種かを見てみると、より理解が深まるかなとも思います。

 スキルは、古期北欧語「区別(する能力)」を意味し、業務を遂行する能力と定義します。プレゼンなどの基本的なスキルを「ソフトスキル」、職種ごとに必要なスキルを「プロフェッショナルスキル」、そして、私が非常に大切にしている「リーダーシップスキル」の3種類だと思っています。。スキルは、すべて習得可能です。例えばマーケティングの職種の人。生まれつきのマーケターはいないわけですから、努力すれば後からスキルを身につけることができます。

 大事な姿勢は、「目の前の仕事が天職であり、スキルを身につける絶好の機会である」とポジティブに考えることです。夢見る乙女になり、いつか自分に合う仕事にめぐりあえるはずと考えると、キャリア上、なかなかうまくいかない傾向があります。

 どのような職種、グレード、職級の方でも、前述の3つのスキルが必要です。職級が上に行けば行くほど、リーダーシップスキルがより要求され、高いレベルで3つのスキルのバランスをとることが求められます。

 データサイエンティストも、やはりそうですね。アナリティクスを使って他部門を説得しながら業務を改革する職種であり、業務知識に加えて、サイエンス、ITといった高度なプロフェッショナルスキルそして、リーダーシップスキルが強く求められます。こうみるとやはり、この職種はなかなか手ごわいですね。

 では、3つのスキルをそれぞれ解説します。

プレゼンの心得とは


 ソフトスキルは、「話す・聞く・書く」の3つが基本中の基本です。外資系企業にいると、それを母国語と英語の2つで身につけないといけないです。3つの応用として、プレゼン、ファシリテーション、コーチングなどのスキルがあるのではないでしょうか。繰り返しになりますが、これらのスキルは努力すれば磨くことができます。

 私自身の例を少し紹介します。プレゼン。最近では、講演が終わると「うまいですね」と、お褒めの言葉をいただくこともあるくらい改善しました。が、最初はひどかった。日本マイクロソフトに入社して、初めて400人の前でプレゼンをしたときに、ガチガチに緊張して、「“マイケルソフト”の北川です」と冒頭から失敗してしまいました。その結果、しばらくマイケルと呼ばれました。でも、場数とプレゼンの心得によって、随分改善したと自己評価します。

 プレゼンの心得とは、“話す”という行為全体に言えることかもしれませんが、伝えたいことを論理的にまとめあげ、伝えたい相手の脳の好みを考えながら話すことです。要するに、単純に話すのではなく、相手を説得するというのが基本だと考えます。「私はちゃんと説明したのに、分かってくれない」ってよく聞きますよね。それは説得していないのです。テニスのカベ打ち状態になっているのです。

 3つの基本の中では“聞く”というスキルをつけるのが一番難しいかもしれません。外にはなかなか見えないですし、自分自身に問うことが要求されるからです。これを磨くために、質問力の勉強をしたこともあります。聞くスキルは、私自身、今後も改善していきたいです。

プロフェッショナルスキルは常にメンテナンスせよ

 次のプロフェッショナルスキルは、職種ごとに要求されるスキルです。私だったらマーケティングですし、営業、SE、企画、総務、人事などなど、職種ごとに多様なものがあります。プロフェッショナルスキルは、身についたら終わりではなく、ビジネスの変化や技術の進化によって、常にスキルをメンテナンスする必要があります。

 例えば、近代のマーケティングは、以前はなかったデジタルマーケティングのスキルが求められたりします。最近は複数のプロフェッショナルスキルを身につけるのもいいかなと思います。今の会社で、マーケティング+企画を担当させていただき、今までで身につけた、マーケティング、SE、開発者、経営企画のスキル(そしてギタリストの経験)が、どこか結実してきたような気がします。

リーダーシップも努力で習得できるスキル

 そして、リーダーシップスキル。いまだに「これは天賦の才で、人をひっぱっていくスキル」だと考える人が多いですね。しかし、多くの研究や書籍が言っているように、リーダーシップもやはりスキルです。部下でも、上司でも誰にでも必要とされるスキルです。

 さらに言うと、個人だけでなく組織として必要なスキルです。私の中のリーダーシップの定義は、敬愛するジョン・コッター(John P. Kotter)先生の書籍タイトルである‟Leading Change“がぴったりときます。変革をリードする、ということです。

 厄介な課題やまだ尻尾の先しか見えていない機会をみつけ、それをアドレスする能力というのでしょうか。変革だけを実行すると単なる破壊者になりかねないので、変革につきものの痛みや抵抗をどのように緩和するかという能力も同時に要求されます。大変なことですが、大なり小なりこれを実践することがリーダーシップではないかと、社会人28年になり感じる次第です。

 では具体的に、変革をリードするためにはどのようなスキルが要求されるかというと、最も大事なのがコミュニケーションとコラボレーションの能力でしょうね。一人で変革はできません。企業は一人では運営できません。抵抗勢力もあります。常に人との接点があり、人とどのようにコミュニケーションして仕事をやり遂げるかがリーダーシップのスキル基盤だと考えます。

 昔の上司に、「北川さんは脳内筋肉オタクですね」と言われたことがあります。ちょっと有利な私の特長として、自分のスキルの欠点を探しだして、それを徹底的に鍛えるというのがあります。へなちょこであった脳も、このおかげで、時間はかかりましたが、少し筋肉質になったと思います。


 よく「強みにフォーカスしなさい」という話がありますが、私は少し違った考えをもっています。強みは、環境によって弱みになることがあるからです。プロ野球のスタープレイヤーがすべてよい監督になれないですよね。よい社員がよいマネージャになるとは限りません。新しく求められるスキルの不足と、過去の強みや成功体験が邪魔するのだと。ですから、強みはキープしつつ、将来を見越して、次の強みを作ることが大切なことだと考えます。その際、実は認識している弱点というのは、今後の強みにできる大きな機会があるものです。最近の日本のラグビーチームをみれば分かります。スクラムが弱いといわれていたのを、努力によって強みに変えました。これですよ。

 ビジネス戦略を練るときにSWOT分析を使うことがあると思います。自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)、自社と取り巻く環境としての機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つを分析するものです。このSWOT分析を、自分自身にやってみることをお勧めします。そうすると、次の方向性がみえるかもしれません。自分の強みや弱み、学習の機会やさぼったときのキャリア上の脅威が見えてくると思います。

 今回は、Why Japanese Peopleではない話でした。

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