日本オラクルは10月13日、顧客管理や営業支援などの機能を提供するクラウドサービス「Oracle Sales Cloud」の最新版を提供開始した。業界別テンプレートとアナリティクス機能、販売代理店管理機能を新たに提供する。
Oracle Sales Cloudは、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上を支援するクラウドサービス群「Oracle Customer Experience(CX)Cloud」の一部に位置付けられている。マーケティングやソーシャル、eコマースなどのサービスとともに、企業のビジネスプロセス全体を支えることを目的としている。Salesforce.comの競合サービスとして注目されている。
日本オラクル 下垣典弘氏
「昨今、デジタルマーケティングとマーケティングオートメーションの仕組みが大きな注目を集めている。マーケティング活動などから得られた見込み客情報(リード)を有効に活用するには、営業支援システム(SFA)との連携が不可欠となる。Oracle Sales Cloudは、その顧客発掘から契約までのプロセスを合理化する仕組みだ」と日本オラクル 専務執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括の下垣典弘氏は強調した。
新たに加わった業界別テンプレートは、ハイテクと製造、金融、消費財、通信の4つの業界を対象に、業界特有のデータモデルや画面、業務フロー、ルールを提供するもの。SiebelやPeopleSoft、JD Edwards、Oracle E-Business Suiteなど、同社が有する顧客関係管理(CRM)製品のユーザー600万人、法人顧客5000社から各業界の営業活動に関するベストプラクティスを集め、業界テンプレートにまとめ上げた。
日本オラクル 執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括 セールスクラウド統括本部長の大熊裕幸氏は、「業界に特化した機能によって、企業の営業チームは業界特有の需要に対応できるようになる。テンプレートはグローバルの業界標準に準拠しているため、実装工数の削減も図れる」と説明する。
日本オラクル 大熊裕幸氏
アナリティクス機能の強化によって、担当顧客ごと、製品ごとの軸で何がどこに売れている、あるいは売れていないかを分析できるようになった。まだ開拓できていない「ホワイトスペース」には、担当顧客の企業規模などを加味した上で、推奨製品と売上予測金額を営業担当者に直感的に判断できるように提示する。
また、過去の実績、見込み案件情報をもとに同業種内での売上傾向や組み合わせ販売、追加販売の可能性も算定する。大熊氏によると、アナリティクス機能には、Hyperionのビジネスインテリジェンス(BI)エンジンが使われているという。
ビジネスにおいて販売代理店の役割はますます拡大し、重要になってきている。営業の生産性を上げるためには社内の営業部門だけでなく、販売代理店にも角度の高い情報をタイムリーに提供し、案件の可視化と販売チャネルの分析をする必要がある。
販売代理店管理機能は、社内だけでなく販売代理店との売上予測と実行状況を可視化する。販売代理店の新規案件登録から、見込み案件情報の連携、代理店向けの販促プログラムといったプロセスを広範囲にわたって支援する。
販売代理店ごとのビジネス状況をリアルタイムに可視化することで、問題点や改善点を早期に発見できるほか、過去に実施したキャンペーン情報を確認可能なため、担当者が変わっても円滑にビジネスを継続できるという。
また、社内の代理店管理部門と販売代理店との間で、企業向けソーシャルネットワークサービス「Oracle Social Network」を使えば、企業連携と顧客支援のさらなる強化が見込めるとしている。