NEC、OpenStackベースのクラウド基盤構築を支援--期間を最大50%短縮

NO BUDGET

2015-10-21 08:30

 NECは10月20日、オープンソースソフトウェア(OSS)のIaaS環境構築管理ソフトウェア「OpenStack」を活用したクラウド基盤の構築と運用を支援するサービス「NEC Cloud System(OSS構築モデル)」の販売を開始した。通信事業者やデータセンター事業者、企業の情報システム向けに高い信頼性と拡張性を備えたクラウド基盤を提供する。

 NECのクラウド基盤サービス提供実績をもとに事前検証済みの製品や技術を組み合わせており、導入までの期間を最大50%短縮できるという(過去プロジェクト経験に基づいた構築期間と今回の手法を用いた構築期間を比較した場合。NEC調べ)。

 近年、開発環境や情報系システムだけでなく、基幹システムのクラウド移行が進んでおり、ビッグデータやモバイル、SNSを活用した新規ビジネスの立ち上げを目的にしたクラウド利用が活発化している。そうした状況下でコスト最適化と最新技術への対応の観点からOSSの活用ニーズが加速している。しかし、OSSを活用した基盤上での基幹システムの構築や運用には品質面の不安、技術ノウハウ不足による構築、メンテナンスコストの増大が課題となっている。

 Cloud System(OSS構築モデル)のクラウド基盤の中核には、4月にリリースされた「kilo」をベースにした、拡張性が高いというOpenStackディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(RHELOSP)7」を採用。基盤の管理、監視、制御機能にもOSSを活用している。これらを連携させることで、通信事業者のNFV基盤、通信事業者やデータセンター事業者のクラウドサービス基盤、企業の情報システムの基盤にも適用できるとしている。

 同サービスには「NEC Cloud System OSSクラウド基盤構築支援サービス」と「NEC Cloud System OSSクラウド基盤サポートサービス」の2種類ある。

 構築支援サービスでは、設計(要件定義や製品選定、パラメータ設計、運用設計も含む)、構築(サーバ、ネットワークなどのリソース設定、基盤セットアップ)、評価を実施する。サポートサービスでは、RHELOSP 7、そのほかのOSSを含む基盤ソフトの技術問い合わせ、障害解析、回避策の提示、ディストリビューターと連携したユーザーシステムの問題解決を支援する。両サービスとも価格は個別見積もり。

 NECは、OpenStackコミュニティで主要なコンポーネントの開発にコアデベロッパーとして参加しており、新サービスでは、OpenStackなどの主要OSSのコミュニティに参画し培った技術力を生かしているという。

 ユーザー企業個別のニーズに対応した機能をコミュニティに還元することで機能のオープン化を促進する。

 具体的には、近年、脅威が増している外部ネットワークからの不正アクセスへの対応策として、ファイアウォール、侵入検知システム(IDS)や侵入防御システム(IPS)を仮想化したアプライアンスと連携し、統合管理する機能をコミュニティに提案していく。仮想マシンの払い出しやネットワーク設定など、運用管理者の日常作業を自動化する機能や運用プロセスの標準化に向けた運用ガイドの提供で運用の効率化とサービス品質向上を支援していくと今後を説明している。

 NECでは、新たにOpenStack対応の専門部隊を設置し、可用性、性能、運用性、拡張性などの非機能要件の視点で評価し、システム構築やサポート時に迅速な問題の解決や回避の方法を提供する。専門部隊に加えて、エンジニアを含めた1000人体制で、OpenStackを活用したオープンなクラウド基盤の提案から設計、構築、運用、サポートまでをトータルに支援するという。

 新サービスは、OpenStackやSDNなどのオープンスタンダード技術と、NECのミッションクリティカルシステム構築技術を融合したもの。ミッションクリティカルシステム構築技術は、オープンシステム構築でNECが定義した6つの非機能要件である可用性、性能、運用性、拡張性、連携性、機密性を検証して品質を確保する技術体系を指している。

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