ノークリサーチは10月26日、2015年の中堅・中小市場における文書管理システムやオンラインストレージサービスの利用実態とユーザー評価に関する調査の分析結果を発表した。
調査は「2015年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の「文書管理・ファイル管理・オンラインストレージサービス」カテゴリに向けて行われ、日本全国全業種の500億円未満の中堅・中小企業で「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」または「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」社員を対象として、2015年7月に実施され、有効回答件数は1300社。
導入済みの製品/サービス(いくつでも)(ノークリサーチ提供)
上のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業全体に対し、「文書管理」「ファイル管理」「オンラインストレージサービス」といったファイルの保存/共有/管理に関連する導入済み製品/サービスを尋ねた結果から、導入社数シェア上位の製品/サービスのみをプロットしたもの。
シェアが最も高い製品/サービスでも1割程度にとどまっており、挙げられている製品/サービスには自社内設置からクラウド形態までさまざまな導入形態が存在することから、文書管理システム市場はさまざまな導入形態の製品/サービスが導入社数シェアを少しずつ分け合っている状態と言える。
年商20億円の中小企業と小規模企業ではオンラインストレージサービスの導入が目立つ
注目すべきは、シェア上位に「Office365/SharePoint Online」「Google Drive for Work」「Dropbox for Business」といったオンラインストレージサービスが表れている点。したがって、文書管理システム市場を理解する上では「オンラインストレージサービスに代表される新たな運用形態がもたらす影響」を知ることが重要となる。
本調査では、「社内設置型」「オンラインストレージサービス」「ファイル統合重視型」「その他」のカテゴリに分類している。そのカテゴリ別導入状況を年商別に収益したのが下のグラフで、年商20億円未満の中小企業および小規模企業においてオンラインストレージサービスが多く導入されていることが分かる。
導入済みの製品/サービス(いくつでも)(ノークリサーチ提供)
「社内設置型」は導入/維持の費用、「オンラインストレージサービス」は機能が直近の課題
オンラインストレージサービスは、ユーザー企業がサーバ環境を構築せずに社内外で文章を手軽に共有できるため、IT管理/運用における予算や人材が限られる中小企業や小規模企業にとっては導入しやすいサービスと言える。
こうしたメリットは年商20億円以上の企業層における部署単位でのIT活用にも当てはまる。年商20億円以上の企業層においては依然として社内設置型の割合が過半数を占めているが、今後オンラインストレージサービスに取って代わられていくのかどうかが注目される。
現時点で抱えている最も重要な課題
ユーザー企業における現状の課題について、一部を抜粋して社内設置型とオンラインストレージサービスを比較したのが上のグラフで、社内設置型では導入/維持における費用負担、オンラインストレージサービスでは機能の不足が課題となっていることが分かる。
一見すると「手軽な導入」と「豊富な機能」のトレードオフ関係とも考えられるが、ノークリサーチでは実際の状況はそれほど単純ではないとしている。