600のSaaS、PaaS/IaaSも提供--イベントに見るオラクルのクラウドへの本気度

大河原克行

2015-12-08 18:11

 日本オラクルは12月8~9日の2日間、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で「Oracle Cloud Days Tokyo」を開催した。「クラウドのチカラであなたの明日を変えていく」をテーマに、同社が掲げる「POCO(The Power Of Cloud by Oracle)」によるクラウド活用の提案やビジネス変革の実例などを紹介する。

 10月に米サンフランシスコで開催した「Oracle OpenWorld San Francisco 2015」(OOW 2015)で発表されたクラウドサービスやクラウド基盤などの幅広い製品群とセキュリティ、ビッグデータ、モノのインターネット(Internet of Things:IoT)などの最先端テクノロジを紹介するイベントとなった。

2年間で2兆円の売上高が減少

 開催初日午前10時から行われた基調講演では、取締役代表執行役社長兼最高経営責任者(CEO)の杉原博茂氏が登壇。マツダやKDDIが、なぜオラクルのクラウドサービスを選択したのか、どのような導入効果が期待できるのかといったことを対談形式で浮き彫りにしていった。

 杉原氏は、最初にOOW 2015を報告した。141カ国から6万人が参加。サンフランシスコ市への経済効果は150億円に達したことを示しながら、「日本からは約500人が参加し、サッポロビール、KDDI、大和ハウスなどが具体的な事例を紹介。日本の企業の先進性を訴えることができた」と説明した。

 今回のCloud Days Tokyoでは1万人弱が登録し、5000~6000人が来場する見込みだという。

 杉原氏は、「伝統的なテックサプライヤーは、この2年間で約2兆円の売上高が減少している。かつて全盛だったミニコンを扱っていた企業は買収されたり倒産したりしている。EMCがDellに買収されるといった動きもある。EMCに長年いた私としては複雑な気持ちである」と状況を解説し、こう続けた。

 「米国では、1980年代~2000年代前半に生まれたミレニアム世代が2015年には8000万人となり、2020年には労働人口の50%を占めるようになる。日本ではゆとり世代にあたるが、これらは、デジタルネイティブの世代であり、スマホやインターネットが当たり前の世代である。一方で、日本では2020年には人口の3割近くが65歳以上となり、2020年までに250万人の人口減少が見込まれる。これは大阪市がひとつなくなるのと同じ。これからの日本は、ITを活用して生産性を高める必要がある」

2年間で2兆円の売上高が減少した
2年間で2兆円の売上高が減少した

 OOW 2015で米本社共同CEOのMark Hurd氏が打ち出した「VISON 2025」についても説明。そこに描かれた2025年の姿を紹介した。

 2025年には、アプリケーション製品の80%はクラウド環境で稼働。アプリケーションスイートの提供会社は2社で80%を占め、開発テスト環境は100%がクラウドになること、企業が取り扱うすべてのデータがクラウドに格納されること、そして、2025年にはエンタープライズクラウドは最も安全なIT環境となることなどを示した。

杉原博茂氏
日本オラクル 取締役 代表執行役社長兼CEO 杉原博茂氏

 杉原氏はまた「(米本社チェアマンで最高技術責任者=CTO)Larry Ellisonは、クラウドに対してコスト、信頼性、性能、業界標準、互換性、セキュリティという6つの観点からコミットした。これはメインフレーム時代から求められていた要件と同じである。特にOracleが重視しているのがセキュリティ。日本は、サイバー攻撃の対象国として米国に次いで2番目になったともいわれている。クラウド環境で安全、安心が担保できるということは大切である」と主張した。

 「Oracleには、クラウドに600近いアプリケーションがある。これは10年をかけてコーディングし直してきたものである。SaaSだけでなく、PaaS、IaaSのすべてを提供できる企業。同時に、オンプレミスとクラウドの両方を同じアーキテクチャ、標準技術、製品、スキルで提供できる。これは、チップからアプリ、クラウドまでを提供するモノづくりの会社であるからこそ実現できるものである」

 さらに、杉原氏はオラクルのクラウドサービスを導入している企業のロゴを表示しながら、かつて自らが在籍していたHewlett-Packardのロゴを見つけて「Hewlett-PackardもOracleのユーザーである」としながら、こう強調した。

 「Oracleはクラウドで遅れているといわれるが、クラウドで急成長している企業である。全世界の導入企業数は、Oracle ERPは1300社、Oracle HCMでは5000社。そして、Oracle CRMは5000社に達し、Salesforce.comに次いで2位の実績を持つ。日本でもハイテク、メディア、食品飲料、小売流通、医薬製薬、製造、サービス業などありとあらゆるところで採用されている」(杉原氏)

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