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ネットから店舗に人が流れ始めた--セブン&アイに見る新たな売り方

怒賀新也 (編集部)

2015-12-09 15:07

 「インターネットを使う若年層が店舗に来るようになってきた」

 セブン&アイ・ホールディングスの取締役 執行役員で最高情報責任者(CIO)の鈴木康弘氏は話す。11月1日にグランドオープンしたグループ横断通販サイト「omni7」の初動効果だ。イトーヨーカ堂やそごうで「若い人を中心に10~20%来客が増えた」。

 有名ブランドであるジャン=ポール・ゴルチエの商品などをセブン&アイ独自の手法で、比較的低価格なラインで販売。SNSで「ありえない」「まあ見てみるか」「なかなかいいかも」といった順番で口コミが広がり、実店舗への来店が増えているといったストーリーを紹介してみせた。

 グループには、セブン-イレブン、イトーヨーカ堂、そごう・西武、デニーズ、ロフト、セブン銀行などさまざまな業態の企業を含む。異なるグループをインターネット上で横ぐしにし、消費者に価値を提供しようとするのがomni7の狙いだ。

 インターネットをベースに売り上げを伸ばすのは、5~6年前から既に小売業者にとっての命題ではあったが、実際にはコスト増、実店舗への悪影響の懸念など、さまざまな理由で成功している企業は思うほど増えていない。Amazonや楽天などのネット専業のシェア拡大が目立つのが現状だ。

 鈴木氏は「ウェブルーミング」と「ショールーミング」の2つの言葉を挙げる。ウェブルーミングはネットでいろいろな商品を買い回り、購入候補を見つけたら店舗に足を運んで買いに行くという行動だ。ネットで購入ボタンを押しにくい、比較的高額な商品がここに当てはまる。このウェブルーミングの効果で、来店数が増えているというのが鈴木氏の指摘だ。

 一方、消費者が店舗で商品を見て、他のECサイトで購入してしまう――ショールーミングは、実店舗を持つ小売業者にとって、頭の痛い問題であり、omni7でもここにきて、ショールーミングと思われる動きも増えているという。これについて、「われわれはウェブでも店舗でも、どちらで売れても構わない。時代の動きに合わせ、消費者の利便性の高い購入手段を提供する」との考えを示した。

 omni7の展開にあたり、鈴木氏が当初参考にしたのが米国のWal-MartやMacy's、Walgreensといった小売企業だった。だが「どれも専業企業。われわれは多種の業態を持っている強みとインターネットを組み合わせてシームレスにつなげよう。そうすれば、世界一の小売業を目指せる」と考えた。

 1つの領域では遠くても、複数のものを組み合わせ、新しい価値を与えることで、圧倒的な存在になり得るというのは、企業経営の観点でも注目できる。

 鈴木氏がこの話をしたのは、日本オラクルが12月8日と9日に開催したイベント「Oracle Cloud Days Tokyo」2日目の基調講演。

 セブン&アイは2013年8月30日に業務要件を固めはじめ、2014年7月からシステム開発を始めた。今年10月にプレオープン、11月にomni7はグランドオープンした。omni7のシステム開発にあたり、日本オラクル、NTTデータ、NEC、野村総合研究所(NRI)を中心に複数ベンダーで構成するチーム体制で臨んだ。

 システムの基盤として、OracleのExadataを採用した。「性能面、セキュリティ面などさまざまな観点で、Exadataが他製品より優れていた」と鈴木氏は指摘する。

 ただし、Exadata採用を初めから決めていたわけではなく、その検討段階において、日本オラクル社長の杉原博茂氏に、Oracle創業者で最高技術責任者(CTO)の「Larry Ellison氏に会わせてほしい」と打診したとのエピソードも披露した。

 鈴木氏がセブン-イレブンのおにぎりの素晴らしさを説明したところ、Ellison氏は「おにぎりとExadataが、製品をつくるという思想的な意味では一緒であることを見抜いた」とのこと。

 「これにやられました。こういう人と仕事がしたいと思った」。鈴木氏は、Ellison氏の対応に心を打たれてExadata採用を最終決定した。Ellison氏と会談した効果はプロジェクト全体にも及んだという。「日本オラクルのサポート体制が万全になった」とこぼして、来場者の笑いを誘っていた。

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