Kleynhans氏によれば、アプリケーションを更新できないのは、必要なスキルを持つ人材が組織を去っていたり、そのソフトウェアを作成した会社がなくなっていることが理由である場合が多いという。
「多くの場合、問題のアプリケーションは2016年以降の決まった時期に使用を中止する予定になっており、実際に中止して別のものに移行するまでの期間をしのぐために、古いOSを使用し続けている」(Kleynhans氏)
MicrosoftがWindows XPのサポートを終了した2014年時点では、多くの組織で一部XPが残っていたと思われる。ある調査によれば、当時英国企業の4分の3が、依然としてWindows XPを何らかの形で使用していたという。
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「大企業や大組織では、プロジェクトが進むのには時間がかかる。2013年から(サポートが切れることは)分かっていても、『アプリケーションを新しいOSに対応させるためにアップデートするには値しないが、使用を中止できるのは早くても2016年だ』という場合もある」と同氏は言う。
Kleynhans氏は、ずっと以前から古いOSを使い続けている組織の例を見たことがあると話す。
「わたしは、ほんの数週間前に、Windows 98で動いているアプリケーションに出くわした。それは生産システムだった。その組織はそれを更新できずにいるが、そのアプリケーションは特定のタスクを実行でき、しかも十分に使用に耐えるものだった。彼らは、もしこのマシンが故障したらどうしよう、と悩んでいた」と同氏は述べている。
ミュンヘン市のプロジェクトは、必要な作業を査定するフェーズと、それを実行するフェーズの2つのフェーズに別れている。作業が開始されたのは2015年の末で、完了は2019年の9月になる予定だ。
「問題のアプリケーションには、最も適切なOSが選択される。フェーズ1で、技術的および事業上の要件分析に基づいて各アプリケーションの仕様が策定され、ターゲットプラットフォームとそのプラットフォームへの移行プロセスが定義され、説明される」と、同市議会の広報担当者は述べている。
ミュンヘン市議会は、Microsoft製ソフトウェアの利用を中止した、世界でも最大規模の事例として有名だ。
同市議会は2013年に、「Windows NT」と「Microsoft Office」から、Linuxの「Ubuntu」ベースのOSと、「OpenOffice」などのフリーソフトウェアへの移行を完了した。この移行には9年間かかっている。このプロジェクトの期間は、作業を完了するにはITインフラの徹底的な見直しが必要と同市が判断したために長期化した。
1万5000人以上のスタッフがMicrosoftのソフトウェアから他のソフトウェアに移行したが、Windows XPとWindows 2000を使う一部のアプリケーションは、移行するにはコストが高すぎるか複雑すぎると判断されて、そのまま維持されたという経緯がある。
市議会は同市のITインフラの独立したレビューも実施しており、どのOSとソフトウェアパッケージがもっとも費用対効果が高いかについても検討される予定だ。このレビューの結果は、2016年の後半に公開される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。