大塚商会の2015年度決算、6期連続の増収増益--クロスセルで販売増に取り組む

大河原克行

2016-02-02 08:00

 大塚商会は2月1日、2015年度(2015年1~12月)の連結業績を発表した。売上高は前年度比0.5%増の6090億円、営業利益は0.6%増の373億円、経常利益は0.3%増の382億円、当期純利益は1.1%増の237億円となった。

 代表取締役社長の大塚裕司氏は「売上高、営業利益、経常利益ともに計画を若干下回ったが、わずかだが、売上高と利益が前年実績を上回り、微増収微増益の結果。これにより、6期連続の増収増益となった」と語った。

 続けて大塚氏は「一昨年のWindows XPのサポート終了に伴う需要増、消費増税前の需要増の反動もあり、第1四半期(2015年1~3月)は売上高で前年同期比9.9%減となり、『借金』を抱えながらスタートした1年であった。第3四半期(2015年7~9月)以降にこれをカバーする計画だったが、後半での挽回が少なかった。しかし、後半になって勢いを増している。特需があった2014年度と比べると横ばいの実績であり、踊り場のようになった。だが、特需なしでもこの数字ができる体質になったともいえる。これを踊り場とせずに、今後も成長させていきたい」と2015年度決算を総括した。

大塚商会 代表取締役社長 大塚裕司氏
大塚商会 代表取締役社長 大塚裕司氏

 「最後の追い込みをできるところまでやった。10月は前年同期比5.0%増、11月は7.4%増、12月は2桁増となったが、もうひと跳ね足りないという反省もある。だが、売上高で2桁増に近いところまできた。これが大塚商会の瞬発力の強さであり、社員の自信にもつながっている。第3四半期、第4四半期の状況を巡航速度としていきたい」

 2015年第4四半期(2015年10~12月)は、売上高が前年同期比9.0%増の1554億円、営業利益が10.3%増の94億円、経常利益が9.3%増の96億円と大幅な伸長を見せた。

 特にシステムインテグレーション関連商品が第4四半期実績で、12.8%増、受託ソフトなどが10.4%増、サプライが7.4%増(いずれも単体業績)と高い成長をみせた。複写機が通期で10.7%増の4万13874台に対して、第4四半期は20.5%増の1万1749台、そのうち、カラー複写機が通期の13.6%増の3万8391台に対して、第4四半期は22.6%増の1万986台と第4四半期に大きく成長した。

 PCも通期では17.7%減の79万5646台と、Windows XP特需の反動の影響を受けたものの、第4四半期には13.4%増の20万9683台と、前年同期比2桁増の伸長となっている。

 「JEITA(電子情報技術産業協会)の統計では、2015年1~12月のPC出荷が前年度比32.2%減。当社の市場シェアを拡大できたと考えている。クラウド時代でも、クライアントは必要になる。PCの回復が想定よりも遅れたという感じはあるが、そろそろWindows 7の入れ替え時期にも入り、タブレットとPCの間のような製品も登場していくだろう。これからもPCは堅調に伸びるだろうと見ている。その一方で、ビジネス分野でタブレットを生かすソリューションを提案し、ITで仕事をやりやすくしたい」

 年間を通じての新規登録企業数は、2014年の4万1000社から4万6000社に拡大。新規登録口座数は2014年の12万6000口座から13万9000口座に拡大。新規顧客が着実に増加していることを示した。

 大塚氏は「月3000~4000社が新規に登録、月9000~1万2000口座が増加している。登録企業102万社に達している。口座開拓能力は着実に高まっている。この顧客基盤を生かして、クロスセルなどで販売増に取り組む」と自信を見せた。

 連結通期のセグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が前年度比2.5%減の3531億円。サービス&サポート事業が5.0%増の2554億円。その他の事業が1.1%増の3億円となった。

 大塚氏は「第1四半期に前年同期比20%減となるなど、課題となっていたシステムインテグレーション関連商品も第4四半期には高い成長を遂げた。2016年1~3月でこの回復が本物かどうかを見極めたい。1月は順調に推移しており、2016年度の計画は4%増の成長を見込んでいる。対策の成果が出始めているともいえ、システムインテグレーションで伸ばして、それをサービス&サポートにつなげるといった形にしていきたい」と今後を見通した。

 1人あたりの売上高は前年に比べてやや減少し、8184万円となったが、営業利益は492万円と0.2%上昇しており、1998年比べると1人あたり売上高は73.8%増、1人あたりの営業利益は15.4倍に達しているという。「2015年の正社員は前年に比べて151人増加。この数年、正社員数は減少していたが、将来を考えて人員採用を図っていく」

 大塚商会単体の売上高は、前年度比0.2%増の5595億円、営業利益は1.4%増の336億円、経常利益は1.5%増の347億円、当期純利益は1.1%増の216億円となった。

 そのうち、重点戦略製品の売上高は「たのめーる」が前年度比8.1%増の1391億円、オリジナル統合業務ソフト製品の「SMILE」が10.2%減の104億円、ナレッジマネジメントシステムの「ODS21」が6.0%増の461億円、セキュリティビジネスの「OSM」が17.7%増の598億円となった。

 2015年12月時点での調達ASPサービス「たのめーるプラス」は172社、大手企業向けオフィスサプライの「MAたのめーる」は2万6433口座、オフィス向けサプライ通販の「たのめーる」は121万2623口座、個人向け通販の「ぱーそなるたのめーる」は34万7041会員に達したという。「たのめーるは、年間100億円規模で増加しており、勢いがついてきた」と自己分析した。

 ASPは178万人が利用。サプライと保守契約を含むストックビジネスの構成比は42.9%に達したという。「ストックビジネスは大事に育てたい」と位置付けた。

 サーバの販売台数は前年度比4.4%減の3万7718台。タブレットを含むクライアント合計では前年度比15.0%減の84万7320台となっている。「サーバの集積度が変化し、単なる販売台数だけで評価することが難しくなっているのは事実」

 今回の決算発表では、LED照明の販売実績についても初めて公開。2008年からスタートした同事業は右肩上がりで拡大し、2015年度は、売上高で57億円、販売個数は91万個に達したという。

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