海外コメンタリー

ドメイン名管理のICANN、米国による管理終了へ--アジア太平洋諸国に積極的な関与呼びかけ - (page 2)

Eileen Yu (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-02-09 06:30

 同氏は、30億人以上存在すると言わる世界のオンライン人口のうち、半分がアジア太平洋地域に住んでいると付け加えている。「インターネットがわれわれの利益に沿った発展を続けるためには、利害関係者のニーズに合わせて適応していく必要がある」とJia-Rong氏は言う。「したがって、複数の利害関係者が参加するインターネットガバナンスの仕組みに、幅広い利害関係者グループの参加を確保することが重要だ」(Jia-Rong氏)

 特に、この複数の利害関係者からなるグローバルなコミュニティによって管理される「自由でオープンなインターネット」は、アジア太平洋地域の電子商取引業界にとっては必要不可欠だ。アジア太平洋地域では、2015年に電子商取引で8776億1000万ドルの売上があったが、これは世界の電子商取引による支出の52.5%にあたる。ICANNはeMarketerの調査を引用しながら、この数字は2014年の35.7%から大きく増えており、アジア太平洋地域は初めて世界最大のデジタル小売市場になったと述べている。

 中国、インド、インドネシアの中産階級消費者の増加と、この地域におけるモバイルデバイスの普及が、この成長の原動力となっている。さらに、今後加わる10億人のオンラインユーザーの中心は、アジアの国々を含む発展途上国の住民だと予想されている。

 China Internet Network Information Center(CNNIC)のプレジデント兼最高経営責任者(CEO)であるLee Xiaodong氏は、「この地域で電子商取引が急速に伸びたのは、高速インターネット接続サービスとモバイルの利用が増えたことが理由で、特に中国では伸びが著しいが、電子商取引の成功が、1つのグローバルインターネットネットワークの存在に依存していることは忘れられがちだ。このネットワークが分裂してしまえば、企業は確実に大きな損失を被り、地域にも大きな影響がある」と警告する。

 それに加え、アジア太平洋地域では3000近くの言語が話されているとICANNは述べ、インターネット上での言語サポートの必要性を強調している。しかし、それに必要な標準と、複数の文字セットを使用したドメイン名の開発には、言語、文字コード、政策の専門家を含む、地域コミュニティの複数の利害関係者が積極的に参加する必要がある。

 日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)の奥谷泉氏は次のように述べている。「アジア太平洋地域のインターネットユーザーの数は増えているが、グローバルな舞台でのわれわれの声の大きさは、成長やインターネットユーザーの数に見合っていない。われわれは、この地域のニーズを適切に支えられる形でインターネットを発展させていく必要がある」

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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