セキュリティ企業Palo Alto Networksの調査によれば、攻撃に9日間耐えられれば、サイバー犯罪者は攻撃を諦めるという。
この調査は、米国、英国、ドイツの侵入テストに詳しいとされる304人を対象としたもので、米国カリフォルニア州サンタクララに本社を置くPalo Alto Networksによって実施された。
同社の広報担当者Scott Simkin氏は、「この調査の狙いは、サイバー犯罪の脅威に関する問題に、従来にはなかった観点からの知見を提供することだった」と述べている。「最終的には、相手の行動の動機について考える必要がある」
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「基本的に、サイバー犯罪者の70%は金銭のために活動している。おそらく他の動機も関わっているだろうが、それを裏付ける具体的なデータはない」とSimkin氏は言う。
調査の回答者は、標的を定めていない攻撃の場合、209時間(8.7日間)以上攻撃を続けるサイバー犯罪者はほとんどいないだろうと答えている。また、60%の攻撃者は40時間の時点で諦め、20時間で36%が、10時間で24%が、5時間で13%が諦めるだろうという。
標的を定めた攻撃については?
有名なセキュリティ専門家であり、マサチューセッツ州ケンブリッジに本社を置くインシデント対応企業Resilient Systemsの最高技術責任者(CTO)でもあるBruce Schneier氏は、この調査結果は、クレジットカード番号のデータベースなどを欲しがっている、特定の標的を持たない攻撃者に関して言えば妥当だと述べている。そのような情報は、最初に狙った標的の防御が固ければ、他の標的から手に入れても構わないからだ。
ただしSchneier氏は、「その一方で、標的を定めた攻撃では、攻撃者は政治的信条やその他の個人的な理由で特定の対象を狙っている。この場合、標的を変えることはあまりない。ハッカー集団のAnonymousがHacking Teamの社内に侵入しようとしたのは、その会社がサイバー兵器を作っていたからであり、この場合、Hacking Teamのセキュリティが業界の他の企業よりも優れていたか、劣っていたかは問題にならない。問題になるのは、絶対的なセキュリティの水準だけだ」と述べている。
さらに同氏は、「これは、標的を定めた攻撃に対しては、攻撃のコストを高めることは無駄だと言っているわけではない。米国家安全保障局や中国であっても、一匹狼のサイバー犯罪者であっても、時間と金銭、そして技能面での『予算』は限られており、その範囲内でしか行動できない。(中略)こちらにできるのは、相手にとって攻撃を難しくして、相手の優先順位リストから自分が外れることを期待することだけだ」と付け加えている。
サイバー犯罪の経済は今後どう変わるか?
サイバー犯罪者がさらに多くの自動化ツールを手に入れる一方、守る側のセキュリティ技術も改善されるため、今回の調査結果は今後変化していく可能性がある。Simkin氏は、どう変化するかは簡単には分からないことを認め、経済的に遅れている国での状況を調べるために、今後追加の調査を行うことを検討すると述べている。
レポート「Flipping the Economics of Attacks」の全文は、こちらから入手できる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。