Ciscoは米国時間1月19日、サイバーセキュリティの現状と、2016年に予想される動向について記した年次レポート「2016 Annual Secuirty Report」を公表した。レポートの全文は(付録を含めて)87ページに及ぶため、ここではその概要を紹介する。
2016年のレポートで明らかになった重要な項目の1つは、守る側の自信が低下していることだ。最新の脅威に対するセキュリティに自信を持っている組織は、世界的に見ると45%しかない。しかし、多くの企業経営者は、今後セキュリティに関する透明性が高まっていくことを期待している。同社のプレスリリースには、「これは、セキュリティが経営上の懸念になりつつあることを意味している」と述べられている。
それでも、懸念が高まることで、組織のセキュリティ慣行改善が促される。これは何が弱点であり、何に取り組むべきかを組織が把握するためだ。
旧式化したインフラもセキュリティ上の大きな問題の1つで、ネットワークデバイスの92%が何らかの既知の脆弱性を抱えている。Ciscoのセキュリティ事業グループで主席エンジニアを務めるJason Brvenik氏は、最大26件の脆弱性を持ったまま利用されているデバイスも見つかったと述べている。それに加え、デバイスの31%は、ベンダーのサポートがないまま運用されている。
「高度なセキュリティ慣行やテクノロジの導入を妨げている2番目に大きな障害は、互換性の問題だ」とBrvenik氏は言う。
Ciscoのレポートではまた、大企業にとっての間接的な脅威として、中小企業を挙げている。同レポートによれば、中小企業ではセキュリティ上の脅威を特定して防衛するために使っているツールの数が少ない傾向にある。こういった「構造的な弱点」は、ある程度の規模で中小企業と連携している大企業にとって、潜在的なリスクになり得る。
ただし、中小企業のセキュリティも向上している。その理由の一部は、セキュリティサービスをアウトソースしていることだ。全体として見ても、セキュリティのアウトソーシングはあらゆる組織で増えている。大規模組織の半分以上がコンサルティングサービスのアウトソーシングを行っており、かなりの数の企業が監査、監視、インシデント対応などをアウトソースしている。
企業側でのセキュリティの扱われ方が変わっている中、問題になるのは、今脅威になっているのは何であり、今後何が脅威になるのかということだ。
1つには、ソーシャルメディアプラットフォームがサイバー犯罪者の活動の基盤になっているという。特に問題なのは「WordPress」などを使用している、侵害を受けたサーバだ。恐るべきことに、同レポートによれば、2015年2~10月の間に、サイバー犯罪者に悪用されているWordPressのドメインの数は221%増加している。
提供:Cisco