Transparency Market Research(TMR)が実施した調査によると、世界のクラウドセキュリティ市場は2022年までに118億ドル規模にまで成長する見込みだという。比較のために述べておくと、TMRは2014年の同市場の規模を45億ドルと評価している。
「Cloud Security Market - Global Industry Analysis, Size, Share, Growth, Trends and Forecast 2014-2022」(クラウドセキュリティ市場--世界規模での業界分析と規模、シェア、成長、トレンド、並びに2014~2022年の予測)と題されたこの調査報告書に記された予測によると、クラウドセキュリティ業界は2015~2022年に年平均成長率(CAGR)で12.8%の成長を見るという。
同報告書では、こういった成長を支える複数の原動力が存在しており、それらはモバイルと中小企業、セキュリティソフトウェアという3つのカテゴリに分類できるとしている。
モバイル
すべてはモバイルに端を発する。スマートフォンは企業内の至るところで利用されており、当初は企業として使用を認めていなかったモバイル機器も、BYODという流れに乗って次第に職場へと浸透してきている。
BYODというトレンドの興隆により、従業員が自らの望むやり方で作業できるようになるとともに、従業員にモバイル機器を支給する必要がないがゆえに経費の節減につながるといったメリットが生み出される。その一方で、リスクも当然ながら生み出される。
従業員が自らのモバイル機器を用いて企業のSaaS製品やクラウドストレージアカウントにアクセスするようになると、企業のデータがリスクにさらされる可能性も出てくる。このため、BYODポリシーを定めている企業の多くはエンタープライズモバイル管理(EMM)やモバイル機器管理(MDM)といったセキュリティソリューションに目を向けている。
また、業務で使用するモバイル機器を選択できるCYOD(Choose Your Own Device)というトレンドによって、企業は従業員の使用する機種を限定し、セキュリティの向上につなげることができる。しかし、機種それぞれには固有の注意すべき点があるため、企業はそれらの違いによってもたらされる潜在的なリスクを低減できるようなセキュリティツールに投資する必要がある。
中小企業
TMRによるとクラウドセキュリティ市場の成長を支える2つ目の原動力は、中小企業におけるクラウド利用の全般的な普及だという。クラウドベースのツールやサービスにより、多くの中小企業ではあまり必要としていない機能まで搭載された高価なソリューションを社内に導入することなく、リーンなソリューションを利用できるようになる。
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