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「SIerと書くな」と指摘する投資家の意図--クリエーションライン - (page 3)

松下康之 山田竜司 (編集部)

2016-03-03 07:00

――アジャイルな開発案件には開発する側だけではなくて発注する側にも大きな責任と実際にレビューしたり、ゴーサインを出したりという労力が常時必要となるということでしょうか。

 はい。だからその覚悟がないとアジャイルなソフトウェア開発は難しいと思います。一方、(その大企業は)今のビジネス環境に合わせてこの際やってみよう!と決断されたのだと思います。アジャイルな開発ならビジネス環境が変化してもシステムを柔軟に合わせていけるという確信。それこそがアジャイル開発に重要な視点で、ビジネスそのものが変化しないのであれば特にアジャイルでやる必要もないわけですから。


――今回の案件のようにシステムインテグレーターがアジャイルを仕事にするためにはどうすれば良いのでしょうか。

 ビジネス環境がこれだけ素早く変化して、さまざまな領域から思って見ない競合が現れたりするのが現代のビジネスですが、アジャイルにソフトを開発したくても、全然経験したことがないというのが今のシステムインテグレーターの置かれている状況ではないでしょうか。

 例えば50人規模の開発部隊を持っていた会社で、いきなり全員がアジャイルに開発できるわけではありません。まず少人数で小さなプロジェクトから、それこそ社内のツールの開発でも良いのでアジャイル的なやり方でやってみる、それを成功体験としてそのメンバーがまた他のプロジェクトに入っていって細胞分裂するかのようにアジャイル開発のための成功体験を積む――それを続けるしかありません。発注側もそれを意識して小さなプロジェクトからトライしてみる、ということかもしれません。

――今後の展望は。

 クリエーションラインも将来には上場したいという野望を持っていますが、投資家と話をしていると「業種にSIerと書かないでください」と言われます。つまり投資家にとってみるとSIerは投資をする対象ではないと。あくまでも人的リソースに頼ったスケールしないビジネスだと思われてしまうのです。

 とはいえSIerという言葉は書かなくてもやっていることはSIであることも事実です。ただSIのやり方、かたちが変化していますので、われわれとしてもビッグデータの分析サービスやMSPといったエンジニアの頭数に頼らないビジネスを、もっと拡大する必要があります。そのための準備を今から進めているのです。

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