こういった現実から、OCPがもたらした最大の功績は実際のところ、その影響にあると考えているわけだ。多くのベンダーがOCPの影響を受け、そのコンセプトを部分的に採用したり、顧客に伝えたりしている。そして結果的に、OCPのおかげでハードウェアインフラはよりオープンになり、ベンダーロックインも起こりにくくなっている。
OCPが存在しなければ、例えばCisco Systemsはハイブリッドなデータセンターの配備を管理するための「Application Centric Infrastructure(ACI)」や、よりオープンなアプローチを採用しなかっただろう。VMwareによるソフトウェア定義製品の影響ももちろんあっただろうが、OCPも少なからず影響を与えていたはずだ。
オープンコンピュートのソフトウェア定義ネットワークに向けたアプローチは、Ciscoにとって看過できないものだったはずだ。Ciscoは自らが望む通りの製品を顧客に提供することで、ある種の囲い込みを図っていた。2014年になって同社はOCPに参加し、皆を驚かせたが、その戦略はシンプルだ。つまり、同コミュニティーに貢献する傍ら、得られるものを得るとともに状況を把握するというものだ。
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OCPが存在していなくても、HPはホワイトボックス製品を提供していただろうか?その可能性は低い。Lenovoは2月にOCPに参加したが、同社もその動きは「超大規模ビジネス戦略の延長線上にある」と述べている。
ほとんどのベンダーは、自社のハードウェアシステムの相互接続性を向上させ、よりオープンな製品にする必要性を認めている。こういったアプローチの背後にもOCPの影響がそこかしこに見て取れる。
OCPが開催している今回のイベントの議題は、Facebookの「Open Rack」インフラや、SDS、ネットワーキングシステム用API、ファームウェアの標準化、電源管理、HPCクラスタなど多岐にわたっている。
要するに、ソフトウェアが世界を飲み込んでいるのであれば、誰かがOCPやOCPのメンバーにその世界の存在を伝え忘れているというわけだ。オープンコンピュートのアプローチは、ハードウェアベンダーに大きな商業的成功をもたらしてはいない。OCPは利幅の薄いコモディティ製品を生み出すものだと解釈できるため、そのこと自体には何の問題もない。ただ、商業的な成功と、データセンターにまつわる会話に対する影響を混同してはいけない。OCPは既に、企業のITバイヤーにとって有用な成果をもたらしているのだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。