AZホールディングスは、クラウド型ビジネスインテリジェンス(BI)ダッシュボードを導入し、Salesforceに蓄積されている営業訪問履歴や会計データと書店のPOSデータを掛け合わせ、営業部門の提案力強化と管理部門の業務生産性を向上させた。ウイングアーク1stが3月15日、ユーザー事例として公表した。
システム構成図
AZグループの2つの出版社であるBNNとフィルムアートでは、両社合わせて1000種類を超える雑誌や書籍を扱っており、いつ、どこで、どの本が、どれだけ購入されたのかを把握することは、出版社にとって非常に重要となっている。
同社ではこれらの情報を把握するため、日本全国の書店のPOSデータを閲覧できる商用サービスを利用していたが、2015年中に同サービスの提供が終了することになり、別の方法を検討する必要があった。他のPOS提供サービスでは使い勝手やユーザーインターフェースに難があったこともあり、生のPOSデータを購入し、独自の閲覧システムを開発することにしたという。
さらに、同社では2013年から営業部門や管理部門でSalesforceを活用し、会計データをはじめ、書店を訪問して営業活動履歴などを蓄積しており、これらのデータとPOSデータを組み合わせて分析することで、新しい洞察が発見できるのではないかと考えていた。そこで、Salesforce上でPOSデータを登録してみたものの、集計処理に時間がかかりすぎることが問題となった。
この処理の高速化を求めて導入したのが、ウイングアーク1stのクラウド型BIダッシュボード「MotionBoard Cloud for Salesforce」だった。
これを用いて今回、出版専用システムから納品/返品データや店舗情報などが月次処理でSalesforceに登録され、POSデータと合わせてMotionBoard Cloudのデータストレージに登録される仕組みを構築した。現在では7~8年分のデータが登録されている。以前のシステムでは、集計処理に30分かかっていたものが、10秒で表示できるようになったとのこと。
また、Salesforceから必要なデータを容易に抽出できるようになった。POSデータの閲覧のみならず、例えば、Salesforceの納品冊数データとPOSの購買データを組み合わせて見るなど、営業活動に欠かせないシステムとなっているという。さらに、管理部門が会計レポートの作成にも利用するなど、用途も拡がっている。