NECは4月6日、アンゴラとブラジルを結ぶ大容量光海底ケーブル敷設プロジェクト「SACS(South Atlantic Cable System、サックス)」の建設を開始したと発表した。アンゴラ政府国有のアンゴラテレコムが株式の51%を保有し、残りは同国の通信企業4社が保有するアンゴラケーブルズ(Angola Cables, SA)と締結した契約によるもので、2018年中旬に稼働開始予定。
光海底ケーブル「SACS」敷設マップ
SACSは、アフリカ大陸と南米大陸間を結ぶ南大西洋を横断する光海底ケーブルシステムで、アンゴラのルアンダ(Luanda)とブラジルのフォルタレザ(Fortaleza)を結び、総延長約6200kmに及ぶ計画。1波長あたり100Gbpsとなる最新の光波長多重伝送方式に対応し、建設時設計容量として40Tbps(伝送量100Gbps×チャネル数100波長×光ファイバーペア4対)の伝送が可能。NECによると南太平洋を横断する光海底ケーブルは世界初であり、NECにとっても大西洋で初めて手掛けるプロジェクトという。
アンゴラは、石油やダイヤモンドなどの豊富な資源を背景とした経済成長に伴い、国際通信が急増している。特に経済大国のブラジルや、ブラジルを経由した米国との通信を可能にする国際通信ケーブルの整備が求められていた。こうしたニーズに応えるのがSACSで、陸揚げ地のブラジル・フォルタレザにて米国に繋がる海底ケーブルと接続することで、今後も予想される両地域間の通信需要増に対応するという。
NECは、陸上に設置する光伝送端局装置・光海底中継器・光海底ケーブルなどの製造、海洋調査とルート設計、光海底ケーブルシステムの据付・敷設工事、訓練から引渡試験まで、全てをシステムインテグレータとして提供。深海8000mの水圧に耐える光海底ケーブルは、日本で唯一製造可能なNECの関連会社であるOCCが担当する。
NECは、今回の契約について、これまでの納入実績に加え、最先端の技術力、およびプロジェクト遂行力が高く評価されたものと考えているという。同社は、過去40年にわたり海底ケーブルシステム事業を手掛ける海底ケーブルのトップベンダーで、地球5周分のべ20万kmを超える敷設実績があり、特に日本を含むアジア・太平洋地域で強みを有する。
なお、SACSの建設には、国際協力銀行(JBIC)のバイヤーズクレジット(輸出金融)が活用される。本融資は、三井住友銀行(SMBC)との協調融資によるもので、SMBC融資部分には独立行政法人日本貿易保険(NEXI)による保険が活用される。JBICは、アンゴラ国営のアンゴラ開発銀行を通じて、建設資金の一部をアンゴラケーブルズに融資する。