Wintel同盟が戻ってきた。NAND型フラッシュメモリのSSDは、この10年でストレージ業界に革命を起こした。しかし、不揮発性メモリ(NVM)はSSDよりもはるかに大きな革命を起こすかもしれない。その背後にいるのはIntelとMicrosoftだ。
影響力の大きさ
フラッシュメモリを用いたSSDは、磁気ディスクを用いたハードディスクよりも高速なストレージだが、I/Oスタックは同じだ。このため、デバイスにデータを書き込む際に生じる問題(遅延、エラー、複数のバッファ間の調整)はそのまま残っている。つまり、SSDは単なる高速なディスクにすぎないと言える。
しかしNVMは単に高速なだけではない。NVMには永続性があり、ストレージとしても使用できるメモリである、ストレージクラスメモリ(SCM)に利用できる。
純粋なSCMは、DRAMとストレージデバイスの違いをなくしてしまう。メモリとストレージを別に持つのではなく、永続的にデータを保持できる単一レイヤのメモリを持つことができるわけだ。
変化の先駆け
もちろん、SCMの製品がNAND型フラッシュメモリと価格面で競争できるようになるまでには、まだ何年もかかる。しかし、メモリバスにNVDIMMを利用するだけでも、システムを大きく高速化できる。
例えばPlexistorは、NVMを利用して、現在のファイルシステムに比べ、I/O性能が6倍から8倍で、遅延が10分の1以下のファイルシステムを作った(詳細については、筆者がStrageMojoで書いた記事を参照してほしい)。
Wintel同盟再び
CPUの性能向上が鈍化している中、NVMとSCMに対する期待が、大企業による投資を呼び込んでいる。Microsoftは、Intelの「3D XPoint」に取り組んでいる。HPEは「Persistent Memory」だ。
MRAMやRRAMなどの、他のSCM技術も市場に出てきている。これはシステムアーキテクチャの劇的な変化の始まりであり、この変化は決して早過ぎるものではない。
新しいストレージの用途
コンピュータ技術のイノベーションにはよくあることだが、NVMとSCMは遠い昔に使われていた機能を再び蘇らせるものだ。磁気コアメモリも永続性を持っており、DRAMが安価になってからも、電源品質が低いところではよく使われていた。
IBMの「System 38」も単一のレイヤのメモリを持っており、ディスクをメモリ空間の仮想的な拡張領域として使っていた。ほとんどの人は存在自体を忘れているか、あるいは一度も習ったことがないだろうが、これらのアーキテクチャは新しいものではない。
しかし、新しいテクノロジは極めて高速であり、まだフラッシュメモリほど安価ではないにせよ、3D XPointなど、一部の製品はDRAMよりも安くなりそうだ。その多くはPCやノートで使われることになるだろうが、筆者は大規模なストレージシステムでも使われるようになると予想している(詳しい例については、最近の不揮発性メモリワークショップで紹介された「Nova」ファイルシステムについて参照してほしい)。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。